早朝にキャンプ場を発ち、グランドサークル東部に向かうが、その前に一箇所、どうしても立ち寄りたい場所があった。それはゴブリンバレー州立公園(Goblin Valley State Park)。あまり知られていないが、ここは小鬼のような岩が無数に広がる、ちょっと変わった景観が見られるところなのである。

道中の奇岩
ハンクスビル(Hanksville)で左折し、奇岩を見ながら24号線を北上していくと、途中で案内板が登場。それに従って左折し、道なりに進んでいく。なんだか心もとない道が続くが、しばらくしてゲートに到着。お金を払って中に入り、分岐を左に進むと、さっそく小鬼たちが現れた。変な形だが、なにか愛嬌があって面白い。

小鬼たち出現
気を良くして先へ急ぐと、まもなく展望台が登場。車を降りて眼下を見やると、この可愛らしい奇岩が無数に広がっている。何という奇妙な光景…ここは自由に歩いて良いそうなので、すかさず下に降りて、周囲を歩き回った。

ゴブリンバレー展望台より

小鬼たちと戯れる
思う存分楽しんだら道を引き返し、ハンクスビルから95号線を南下していく。この辺りも奇岩が見られるドライブコースで、変化に富んだ景観を堪能することができる。分岐を左に入り、峠を越えると眼下には久々にコロラド川が望めるようになり、感慨の一時。展望台に立ち寄って、しばしこの景色を見つめた。

コロラド川を望む

川沿いの岩壁
川を渡ってさらに進んでいくと、ナチュラルブリッジ国定公園(Natural Bridges National Monument)が近づいてきたので寄り道。一方通行の道路を走り、見所となっている3つのブリッジを眺めることにする。
ブリッジは、いずれも歩かないと間近に望めないので、まずは最初のシパブ・ブリッジ(Sipabu Bridge)へ。トレイルは意外に急な箇所もあるので慎重に下っていくが、橋の近くまでくると、さすがに世界2位の大きさだけあって圧倒される。

シパプ・ブリッジ
続くカチナ・ブリッジ(Kachina Bridge)は世界3位の大きさだそうだが、奥まったところにあるため、近くにいかないとなかなかブリッジと認識できない(そのためか、歩く人も少ない)。酷暑の中、苦労して歩く割には報われなかった。

カチナ・ブリッジ
そして、最後のオワチョモ・ブリッジ(Owachomo Bridge)は、距離も短く簡単にアクセスできるが、最もブリッジらしいブリッジと言えよう。大きさこそ先の2つには適わないが、非常に綺麗な弧を描いている。

オワチョモ・ブリッジ
ひとしきりブリッジを楽しんだら、さらに南下を続ける。最初は広々とした道が続くが、崖の先端に出た途端、急なスイッチバックの急下降となった。狭い上に未舗装。結構スリリングな道だが、眼下の景色は最高だ。ここを慎重に下っていくと、再び広大な平原を進むようになる。すると、右手にグースネック州立公園(Goosenecks State Park)の標識が現れたので、またも寄り道することにした。

グースネック州立公園

メキシカン・ハット
ここでは、サンファン川(San Juan River)が蛇行した迫力の景色を眺められるところだが、かなり大規模なものを想像していたので、少々肩透かしを食らった気分だ。辺りを軽く散策したら元に戻り、メキシカン・ハット(Mexican Hat)の奇岩を横目に見ながら進んでいくと、次第に西部劇の風情を感じる景観になってきた。給油しながらさらに進むと、やがて前方に、ビュート(Butte)がいくつも立ち並ぶ、絵になる光景が目に飛び込んできた。そう、ついにモニュメントバレー(Monument Valley)までやって来たのだ。

モニュメントバレーが見えてきた
さらに車を走らせると、点在するビュートが次第に迫り、ついに西部劇の世界に来たのだという実感が沸いてくる。勢いそのままにモニュメントバレーの入口を通過したら、いったんビジターセンターに立ち寄った後、まずは手始めにと、バレードライブ(Valley Drive)を走ることにした。
バレードライブは、モニュメントバレーの見所を周る全長17マイルのコースで、自家用車でも入れる未舗装路である。坂を下り、ミトン・ビュート(Mitten Butte)、メリック・ビュート(Merrick Butte)、エレファント・ビュート(Elephant Butte)などを過ぎて走っていくと、右手にはスリー・シスターズ(Three Sisters)が見えてくる。いったん右折して、ジョン・フォード・ポイント(John Ford's Point)に立ち寄り、有名な景色を眺めた。

ジョン・フォード・ポイント

ビュートを眺める
そこから道はループ状になっており、ルートに従ってとりあえず走っていく。レインゴッド・メサ(Rain God Mesa)を周り込んでいくと、遠方にはトーテムポール(Totem Pole)やイェイビチェイ(Yei Bi Chei)などの奇岩も見える。スペアヘッド・メサ(Spearhead Mesa)の先には、これまた有名な展望台、アーティスト・ポイント(Artist Point)があり、ビュートの美しい風景が広がっていた。

トーテムポールとイェイビチェイ

アーティスト・ポイント

様々なビュートやメサが見られる
こうして一通り、最低限の観光を済ませたが、これだけでは納得いかなかった。もっと奥があるはずだ…事実、一般車が入れないコースもあるし、他にも様々なツアーがあると聞いていた。そこでビジターセンター横のツアーデスクで聞いてみると、明日は、バレードライブを走るツアーしかないらしい。そんなバカな…改めて確認しても、バレードライブを走るものと、そこから1本だけ奥の道を入るコースしか受け付けていないらしい。なんと…

ビジターセンターからの展望
承服しがたい気持ちを抱えながらも、夕暮れが迫ってきたので、ひとまずビュートが赤く染まりゆく景色を写真に収め、ぼんやりと眺めて過ごす。すると、しばらくして突然、小太りの男が近寄ってきて、握手を求めてきた。何事かと思いきや、明朝、ふだん入れないエリアに行くツアーを催行するよと言ってきた。嘘か真か…やや疑いの眼差しを向けながらも、どういうことかと聞くと、おもむろにファイルを出して、美しい写真の数々を見せてくれる。こんな景観が見られるなら、是が非でも行きたい!
しかし、こちらは一人…そこを尋ねると、一人でも通常料金でOKとのこと。おまけに、また別の写真を持ち出して、自分はチャゲ(CHAGE&ASKA)の友だちだと言い出した。確かに一緒に映っているが…さらに他の有名人の名も何人か出して、みんな自分が案内したとのたまう。営業用トークだろうが、ここまで来たら、もう信じることにしよう。堅い握手を交わして、明朝、日の出とともにプライベート・ツアーに出かけることとなった。