2日目からが、本格的なトレッキングの幕開け。まずは夜明けとともに起床し、混まないうちにフランセス谷を歩き始める。林を抜けるとまもなく、左手にフランセス氷河(Glaciar Francés)とパイネ・グランデが現れるが、どうも曇りがちで冴えない…しばらく待ってみたが、どうも晴れそうにないので、先を急ぐことにした。

フランセス氷河とパイネ・グランデ
ここから、トレイルはフランセス川に沿うようにして続いている。しばらくはマークに従い、森の中を登っていくが、途中で一瞬林が切れて、見晴らしが良くなった。が、天気は相変わらず冴えなかったので、淡々と登っていく。
快調に進むと、やがて視界が開け、ぬかるんだ湿地帯を歩く羽目になった。かなり荒れていて苦戦したが、ここはどうにか突破。すると、ほどなくしてブリタニコ・キャンプ場(Campamento Británico)に到着したものの、ここは閑散としていて何もないので、さらに先へと邁進した。
この先は岩場の急登となり、予想以上の傾斜に驚かされる。おまけに雨も降ってきたので、ちょっと一息入れてから再スタートを切るが、かなり怪しい踏み跡だ。これをこなしていくと、ほどなくして傾斜が緩み、一気に展望も良くなった。が、まだ道は続いていたので、さらなる高みを目指した。
どこまで続くとも知らずに踏み跡をたどっていくが、やがてそれもあやふやになり、ついにはわからなくなってしまった。少し岩場を上がってみるが、これ以上登っても大差ないようである。この天候では動き回っても仕方ないので、沢の脇に腰を下ろすことにした。
ここからは、頭上にはパイネの角の岩峰群が聳え、振り返ればカテドラル山(Cerro Catedral:2168m)、トロノ・ブランコ山(Cerro Trono Blanco:2197m)、カベサ・デル・インディオ山(Cerro Cabeza del Indio:2230m)、そしてフォルタレーサ山(Cerro Fortaleza:2681m)と、まるで円形劇場のように続いている。曇っているのが残念だが、徐々に回復に向かっている気がしたので、ここでしばらくのんびりすることとする。

岩峰群に囲まれている

クエルノスも頭上に聳えている
しかし、雲は消えそうでなかなか消えない。流れるのはとても早いのだが…結局2時間ほど待ってみたが、思ったほど回復しないし、後続も現れるようになったので、諦めて下山することにした。
トボトボと降りていくと、この間に天気が急速に回復し、キャンプ場を過ぎた頃にはもう、すっかり青空が覗くようになっていた。左手にはクエルノスの岩山、背後にはトロノ・ブランコとカベサ・デル・インディオが綺麗に見えており、前方にはパイネ・グランデの雄姿も現れるようになっている。こうなれば占めたもので、撮影に興じながら、ゆっくりと下っていった。

谷底からクエルノスを見上げる

パイネ・グランデの氷河
が、この頃にはかなりの強風が吹くようになり、ものすごい追い風になっていた。見晴らしの良い丘に出ると、後ろから押されるような状態になり、しかも下りなので、油断すると足をすくわれそうになる。パタゴニアは「風の大地」と言われ、世界有数の強風地帯として有名だが、さっそくその洗礼を浴びることになった。

谷奥を振り返る
慎重に歩いて林に逃げ込むと、後は楽々進んでフランセス氷河まで戻ってきた。こちらも朝より随分良くなって、パイネ・グランデの雪庇も見えるようになっている。パタゴニアは天候の変わりやすい地域なので、この晴れ間はきっと幸運なのだろう。

昼下がりのフランセス氷河
こうしてキャンプ場に戻ってきたら、テントを片づけ、2時間先のクエルノス・キャンプ場(Camping Los Cuernos)へと移動する。歩き始めて少々で、背後のパイネ・グランデがいよいよ全貌を現し、主峰(Cumbre Principal)もはっきりと見えている。さすがにパイネの最高峰だけあって、迫力ある山容だ。

パイネ・グランデを見上げる
トレイルはやがてノルデンフェールド湖に沿って続くようになるが、道は意外にも登り始めた。おかしいな、と思いながら歩いていくと、やがて登りきり、ここから一気に下りになった。前方には目指す山小屋が見えたので、喜び勇んで先に進む。そして、後は淡々と森の中を歩いて、無事クエルノス・キャンプ場にやって来たのであった。

ノルデンフェールド湖
到着は夕方になってしまったが、山小屋もキャンプ場も、プエルト・モンからの船で見かけた人たちが多い。きっとトーレスに先に寄って来たのだろうが、これほど歩いているとは思っていなかった。そういえばイタリアーノ・キャンプ場も、昨日は比較的空いていたのに、今日はかなり混み合っていた。やはり、大勢には従わない方が良さそうだ。