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旅巧館旅行記南米

旅行記:南米編(世界自然旅)

終.ターニング・ポイント

 魅惑の大陸

 結局、南米の旅は無事終えることができたが、これは決して楽な道のりではなかった。治安や感染症への不安から、ピリピリしていることが多く、特にラパスで盗難に遭ってからは、ビクビクと過ごしていた気がする。常に周囲に気を配らねばならず、なかなか心休まる時はなかった。特に前半は、まだ慣れていないこともあって、心から旅を楽しむという状況には、実はなかなかなれなかったのだ。

 それでも、ギアナ高地以降は感動の連続で、充実した旅となった。ボリビアを抜けて、チリとアルゼンチンのみになってからは、治安もすこぶる良くなり、一層気楽に楽しめるようになった。ウユニも素晴らしかったが、何といっても南極とパタゴニアは別格で、次々と現れる光景に目を奪われっぱなし。実に印象的な旅路であった。

 また、これまでのオセアニア北米と比べると、出会う人々の姿や文化も印象的だった。ともすると、我々はアメリカやヨーロッパから発信される情報にばかり目を向けてしまいがちだが、実際にはそれ以外の民族や魅力的な文化が数多く存在し、生活が営まれていることを強く認識させられた。人間の中の善悪も、よりはっきり見えてくる。それだけに、今回は学ぶことの多い旅であったように思う。

  このように、今回は初めての途上国ということもあって、最後はとても心に残る旅となった。ここでしか見られない大自然と、多様な民族と文化。まさに魅惑の大陸であり、その魅力を十分味わうことができたと思っている。幸い、マラリアやデング熱などにかかることはなく、盗難の被害も最小限に食い止めることができたので、この長丁場も乗り切ることができた。不安も大きかったが、旅をして本当に良かった。

 まだまだ足りない

 今回は、4ヵ月半という期間の中で、メジャーな観光地はかなり周ったつもりだが、それでもこの魅惑の地を旅するには十分でなかった。特に日本の夏の時期、アンデスやアマゾンの乾季をほぼ逃しているだけに、それら地域はまだまだ物足りない。

  アンデス周辺では、有名なガラパゴス諸島はもちろんのこと、ブランカ山群やワイワッシュ山群(Cordillera Huayhuash)、レアル山群など、アンデスの名高いトレッキング・ルートはほとんど歩いていない。特にブランカ山群には、世界で最も美しい山とされるアルパマヨ(Nevado Alpamayo:5947m)をはじめ、最高峰のワスカラン(Nevado Huascarán:6768m)、4つのピークをもつワンドイ(Nevado Huandoy:6395m)、アンデスひだの美しいチャクララフ(Nevado Chacraraju:6112m)など、名だたる名峰・鋭峰が競い合っている。また、クスコ周辺にしても、アウサンガテ(Nevado Ausangate:6374m)やサルカンタイ、ビルカバンバ(エスピリトゥ・パンパ)への探検なども残されており、行きたい所は尽きない。

  アマゾンやパンタナールなども同様で、今回は中途半端な観光に終始してしまった。見落とされがちだが、ブラジルは、実は自然の宝庫でもあって、今回訪れた地域以外にも、神秘の白砂漠とラグーンに彩られたレンソイス・マラニェンセス国立公園(Parque Nacional dos Lençóis Maranhenses)や、豊かな水環境に囲まれた世界遺産、フェルナンド・デ・ノローニャ(Fernando de Noronha)とロカス環礁(Atol das Rocas Reserves)、トレッキングのメッカとして知られるシャパダ・ディアマンティナ(Chapada Diamantina)などがある。アマゾンとギアナ高地の境に位置し、霧に包まれたネブリナ山(Pico da Neblina:3014m)の探訪なども面白そうだ。

  この他、パタゴニアにしても、今回は中部パタゴニアを完全に省略しているし、北部も南部も、まだまだ探索の余地が残されている。これらは、そう遠くないうちに攻略したいと思っている(特に東部の低地は、イエローカードが有効な2012年までに訪れたい)。

 醍醐味を知って

  ともあれ、これでもう全体の計画の半分を過ぎ、折り返し点に差しかかった。今回の旅が、今後の成否を握ると考えていただけに、とにかく無事に終えることができてホッとしている。一時は本当にどうなることかと思ったが…

  これまでのオセアニア北米は、ただ楽しいだけであったが、今回の南米は見るべきものが多く、非常に有意義であった。やはり途上国の旅の方が面白いようで、様々な価値観に出会う中で、貧富の格差の問題、環境問題など、様々なことについて考えさせられる。と同時に、比較的安く旅ができるので、長期滞在してもあまりお金を使わずに済む。これらは、やはり先進国を旅するだけでは味わえない醍醐味である。

 この醍醐味を知ったのは良いことで、今回の旅は、時間的な問題だけでなく、旅の中身にしても、文字通りターニング・ポイントになるだろう。少し前なら、こんなところには容易に行けそうになかったが、それが可能になった今となっては、もう止められそうにない。治安面での不安は拭いきれないものの、それを補ってあまりある魅力があり、今後も途上国の旅にはまりそうな予感がする(実は、この旅で秤にかけていたことがあったのだが、それは後に明らかになるので、ここでは書かないでおこう)。

 ただ問題は、これによって、次のヨーロッパ旅行へのモチベーションが低下してしまうことである。南米が充実していただけに、果たして…

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