今回は4ヵ月の旅であったが、結果的には順調に終えることができた。もちろん、時期が早過ぎ or 遅すぎて行けない場所があったり、バスやタクシーが捕まらず、ヒッチハイクせざるを得なかったりと、細かなトラブルはあったが、全体的には楽勝だったと言えよう。
これにはもちろん、理由がある。まず、オセアニア同様、北米は観光のインフラが整っており、車さえあれば旅行で不自由することはなかった。アメリカは治安が悪いとも聞いていたが、それは大都市での話であり、今回のように国立公園巡りをしている限りは、良い人ばかりで全く問題なかった。
また、事前に計画作りをしていたことも大きい。北米では、特にシーズン中はどこも混み合い、行き当たりばったりでは旅行を円滑に進めるのが難しくなるが、危ないところは数ヵ月前には押さえておいたので、滞りなく進めることができたのである。
もちろん、これにより日程の融通が効かなくなるのだが、今回はイエローストーンとアラスカを除けばほとんど晴天だったので、運も良かったのだろう。この夏は異常気象も味方してくれ、山火事が起きるほどの好天に恵まれて幸運であった。
もっとも、この結果、ただでさえ忙しい日程が一層慌しいものになってしまった。やはり天気が良いと出かけたいと思ってしまうので、特に中盤は毎日朝から晩まで動き回り、かなり大変であった。その意味では、この旅は非常に忙しかったけれど、その分充実していたと思う。
その一方で、今回も失敗した部分があった。序文でも書いたが、計画段階で日本のガイドブックに頼ってしまったため、一般的な観光は一通り済ますことができても、深く掘り下げる部分では、必ずしも十分とは言えなかったのである。
日程にゆとりがなかったので、直前になって詳しい情報をつかんでも、それをこなす時間や手段が十分でなかったし、そもそも情報が足りなかった。今となっては海外のガイドブックをもっと研究していれば良かったと思うが、そこまでの知識と準備はできていなかった。これは大いに反省し、次回以降に生かさなければならない。
4ヵ月ではおのずと限界があるが、今回訪れたアメリカ国立公園、カナディアン・ロッキー、アラスカにしても、まだまだ巡り足りないものがある。ヨセミテのハイシエラ、セコイア&キングスキャニオン、メサベルデ(Mesa Verde)、クレーター・レイク(Crater Lake)、レーニエ山(Mt Rainier:4392m)、オリンピック(Olympic)、ロッキーマウンテン(Rocky Mountain)など、日程と場所の関係で訪れることのできなかった国立公園は多いし、今回訪れたところにしても、バックカントリーに関してはまだまだ不十分である。
カナダにしたって、ロッキーの西側、例えばバガブー州立公園(Bugaboo Provincial Park)やウィッスラー(Whistler)周辺、バンクーバー島(Vancouver Island)など、ブリティッシュ・コロンビア州はほとんど訪ねていないし、東部もまだ手つかずだ。アラスカも、天気に恵まれなかったうえ、今回は触りを観光したに過ぎず、デナリやランゲル=セント・エライアスのバックカントリー、ブルックス山脈など、まだまだフィールドが残されている。
そして、とりわけ悔やまれるのが、カナダ北部のユーコンを訪れなかったことである。ユーコンと言うと川下りぐらいしか思い浮かばなかったが(それもきっと楽しいだろうけど)、こここそ人類未踏のウィルダネスが残された自然の楽園で、観光地化されたアラスカとは違って、まだまだ人知れず大自然を満喫できるのである。ランゲル=セント・エライアスを含む一帯は特に魅力的なので、今度訪れる時は、カナダ最高峰・ローガン山(Mt Logan:5959m)や周辺の大氷原に迫りたいと思っている次第である。
また、北米は物価が高いうえ、車がないと観光もままならないので、お金がかかって大変であった。
今回、レンタカー代だけで30万円を越えてしまい、手痛い出費を余儀なくされたが、それでもできるだけコストを削減するために、歩ける時には歩くようにしたし、タクシーは極力避けるように心がけた。そのために要らぬ苦労を強いられる羽目に何度となくなったが、貧乏旅行者には止むを得ないことなのだろう。
そのため、食生活も貧しさを極めた。できるだけ安い物をと、外食ではホットドッグかサンドイッチぐらいしか口にしなかったし、可能な時には自炊してコスト削減に努めた。宿にしたって、特に前半はキャンプばかりで、正直しんどかったが、お金を節約するためと我慢した。先進国の旅は、表面的には易しくとも、地道に大変なのである。
しかし、そんな苦労話も、きっとまだまだ楽な方なのだろう。次に目指す南米は、初めての途上国で、治安も押しなべて悪いと聞く。物価は安いにしても、命の危険が常に付きまとうのだから、今回のように楽にこなせることはあるまい。1ヵ月の準備期間があるとはいえ、具体的な計画はこれからだから、慎重に準備したいと思う。いよいよこれからが正念場なのである。