一夜明け、いよいよ西方砂漠の目玉である白砂漠(White Desert)に向かう。宿を出たらまずは買い出しで、近くの店で必要な食料を調達して出発(今日は砂漠でキャンプなのだ!)。集落を抜けると早くも見渡す限りの砂漠が広がり、所々に低い山が見られる。この辺りの砂漠は黒味を帯びており、黒砂漠(Black Desert)と呼ばれている。まもなく車はその一角に入り込み、山の麓で停車した。
ツアー・リーダーの話では、これから目の前の山を登るらしい。高低差はあまりないものの、ここは砂漠。果たして登れるのだろうか…
歩き始めると、やはり足を取られて歩きにくい。特に斜面に差しかかると、思うように前に進むことはできないが、それでも我慢して徐々に登りつめていく。高度が上がるにつれて当然景色は良くなるので、それに励まされながら歩を進めた。
足元を見ると良くわかるが、黒砂漠といっても、別に砂が黒いわけではない。ここにはなぜか黒い石がそこらじゅうにあり、それで全体として黒く見えているのだ。やがて山頂に登りつめると、背後で見えなかった眺望も開け、実に気分が良い。ここまで来たのは男性陣のみだったが、苦労して登った甲斐があった。

黒砂漠

山頂からの眺め
下りは一気に駆け下り、黒砂漠を後にする。ジープはしばらく走り続け、途中休憩を挟みつつ、どんどん進んでいく。いつになったら停まるのだろう…とぼんやり考え始めた時、前方に数台停車しているのが見え、我々もそこで車を停めた。
説明によれば、ここはクリスタル・マウンテン(Crystal Mountain)というところ。歩いてみると、確かに天然のクリスタルがちらばっている。ここで再び目の前の山頂まで歩くというので、意を決して進軍。脚力に物を言わせて、一番乗りで登頂を果たした。頂きからは、見渡す限りの砂漠が広がっている。これを十分堪能したら帰路につき、車に戻っていった。

クリスタル・マウンテンの麓

山頂からの景観
ここまで、まずまずの景観が見られたが、もっと幻想的な世界を期待していただけに、何か腑に落ちないものを感じていた。西方砂漠は素晴らしいと聞いていたのだが、この程度なのだろうか…
少々疑問に思い始めたところで再出発し、さらに先へと車を走らせる。やがて車道から外れて砂漠の上を走るようになると、目の前に不思議な世界が広がり始めた。白っぽい奇岩がいくつも現れるようになり、その不思議な模様と砂漠のコントラストが美しい。高台から一気に砂漠を下ると、さらに幻想的な光景となり、その間を縫うように進んでいく。ここがてっきり白砂漠かと思っていたが、ここはホワイト・マウンテン(White Mountain)と呼ばれるエリアで、まだ白砂漠ではないらしい。

幻想的な世界になってくる
停まってくれれば写真が撮れるのに…と思いながらもジープは走り続け(小心者なので言い出せない)、奇妙な形をした岩山に囲まれたところで停車。ここにはフラワーストーンと呼ばれる花や貝の化石が数多くあるので、珍しい化石がないか探すことになった。ここに来てようやく幻想的な砂漠の景色に出会え、ひとまず満足。化石を探しながら、むしろ周囲の風景の方を堪能した。

ホワイト・マウンテン

足元には無数のフラワーストーン
しばらくしたら元の道を戻り、再び車道に帰っていく。しかし、ほどなくして再度車道を外れて砂漠の中を疾走。するとどうだろう、奇妙な形をした石灰岩の巨石が無数に現れ出した。マッシュルームやキノコのような形をした奇岩があちこちにあり、独特の自然美が広がっている。これは幻想的、と言うより異次元の世界のようだ。「白砂漠にようこそ!」とのドライバーの声とともに、さっそく車を降りて辺りを散策。奇妙な世界を味わった。

白砂漠に入ってきた

マッシュルームのような奇岩

こちらはキノコ?
本当はゆっくりしたいところなのだが、まだキャンプ地まで距離があり、そんなに長居をするわけにはいかないらしい。それならさっきの化石探しの時間を短くすれば良かったのに…と個人的には思うが後の祭り。泣く泣く駆け足で戻り、先を急いだ。
この先もさらに不思議な世界が広がり、奇岩が林立する中を進んでいく。ここも停まってくれればたくさん写真を撮れるのだが…そんな不満を抱えながらも、景色自体は素晴らしく飽きることがない。やがて車は停車。キャンプ地に行く前に、ここで写真を撮るようにとの計らいだ。途中の方が良かった気はするが、まぁ仕方がない。西陽を浴びた奇岩と砂漠をこの目に焼きつけ、写真に収めた。

奇岩だらけの白砂漠

この中をジープで走る
ここで、メンバーの1人が「砂漠で運転したい」と言い出したので、予定より長く待機し(周りの迷惑を気にしないで振舞えるというのは、時に羨ましいが真似できない)、日没とともにキャンプ地への移動を開始する。遠いのかと心配したが、車は5分ほど走り、奇岩帯の外れで停車して、そそくさとキャンプの準備に入った。
2台の車をL字型に並べて風除けとし、そこにできたスペースに雑魚寝をするらしい。思ったよりワイルドだが、これは悪くない考えだ(日が沈むと急に冷え込んできたが、今回はチベットとヒマラヤで活躍した-20℃対応の寝袋を持参しているので、個人的には心配ない)。食事を済ませ、しばらく雑談したら消灯。すると満点の星空が一層鮮明になり、思わず歓声が漏れる。砂漠でのキャンプも良いものだ、と思いながら眠りについた。

ここでキャンプ!