昨日黄石寨と金鞭渓を一通り巡ったので、今日は天子山方面を攻略することにする。幸い、この日は朝から絶好の天気で、まさに観光日和だ。これは逃すまいと、朝食を取ったらすぐに出立した。
武陵源のゲートは街中から数キロ離れているので、そこまで歩いて向かうが、その間に数多くの観光バスに抜かれ、非常に嫌な予感がする。ゲートに到達すると、案の定、そこはものすごい混雑…しかも、中に入るとまずシャトルバス待ちで、行き先に従って並ばなければならない。1人なので邪険に扱われた(中国の観光地はたいていそうだが、ほとんどが団体客であるため、こういう時に個人で動こうとすると辛い)が、何とか天子山に向かうバスに乗り込むことができた。
バスはロープウェイ乗り場まで走り、そこで乗客を吐き出していく。当然乗り場は大混雑で、ロープウェイに乗るのも一苦労。しばしの空中散歩を楽しむと、すぐさまシャトルバスに乗って賀龍公園に向かうが、ここがまた、けたたましいほどの賑わい…公園内はどこに行っても人だらけで、ひどい有様であった。
それでも、ここからの眺めは「西海石林」と呼ばれ、殊のほか美しい。御筆峰や雲青岩をはじめ、数万もの峰が林立しており、まるで東洋のブライスキャニオンといった風情である(ブライスキャニオン同様、本当は侵食されてできたものだが、どうしてもニョキニョキ生えてきたように見えてしまう)。せっかくなので、混み合う中をくまなく歩き、様々な角度から奇岩・奇峰を眺め尽くした(特に画仙陶酔図は、人が意外に少なくて良かった)。

賀龍公園からの眺め
公園内をひとしきり歩いたら、続いて天子閣に赴き、ここから武士馴馬の脇を通って下山してみる。最初から結構急な階段が続くが、ここは歩く人が多く、かなりの賑わいだ。さらに急降下して分岐に降りたら、今度は一転して登りとなり、天台という展望地まで駆け上がる。かなり大変な道のりであったが、ここからの西海の眺望もなかなかのもの。頂上は物売りがけたたましい声をあげていたが、歩いてきた甲斐はあった。

天台から西海を望む
道はこの先も続いていたが、どこも観光客だらけで賑々しいうえ、このまま十里画廊まで下るのは本意でないので、途中の分岐を左折し、ぐるっと周回して賀龍公園に戻っていった(長い階段登りで大変だったが)。
天子閣に舞い戻ると、あまりの喧騒にまた閉口してしまう。特に御筆峰の前は大混雑で、記念撮影をしようとする団体客で大盛況であった。もう、ここは居るべき場所ではないと確信し、公園を出て西へと歩いていく。実は、この先しばらくすると、点将台、神堂湾といった展望地が点在しているので、それらを全て制覇しようという魂胆である。

御筆峰
バス乗り場を無視して進むと、先ほどの喧騒とは一転、ずいぶんと静かになった。やがて点将台の入口に来たので左折し、奥に入っていくと、そこからは西海が一望のもと!見張りの人がいるだけで、ほぼ独占状態だ。これぞ単独行動の醍醐味。続く神堂湾にいたっては誰もおらず、存分に景色を堪能することができた。
神堂湾からの帰路には、出店で梨もいただいたが(客が来ないので暇そうにしている)、破格の安さにしては結構美味しい。こうした一大観光地(テーマパークと言っても良い)を楽しむには、やはりマイナーな場所を巡るのが一番と再認識したのであった。

点将台より

神堂湾
これで近場の展望地は巡ったので、続いてはさらに奥、茶盤塔に向かうことにした。首尾よく通りかかったバスを捕まえ、山道を揺られながら進んでいくが、肝心の降り場がわからない…降りる客がいないまま、どこだろうと思いつつ過ごしていると、いつの間にか袁家界まで来てしまっていた。これは明らかに行き過ぎなので、反対方向のバスに乗り換えて再挑戦するが、ようやくそれらしき場所がわかった時には通過しており、結局天子山まで戻ってしまった。
仕方なく仕切り直し、今度こそと気合いを入れて乗り込むが、すぐさま韓国人の団体客に押し込まれ、満員の車内の最後尾に追い込まれてしまった。これでは途中で誰か降りない限り、私は降りることができない…しかし、こんなマイナーな展望地に停まるはずはなく、今度は袁家界の集落をも通過して、終点まで乗ってしまった。

天下第一橋付近の岩峰群

双亀天游

迷魂台より

深い渓谷になっている
こうなったら開き直って、ひとまず袁家界周辺の観光を試みる。大勢の団体客の流れに乗ってのろのろ歩くと、しばらくで再び岩峰群が現れた。もうだいぶ見慣れたとはいえ、やはり大した景色である。行列はさらに続き、有名な天下第一橋へと延びているが、こちらはあまりにも混んでいて、記念撮影等で押すな押すなの大盛況。これには参ったので早々に抜け出し、崖に沿って続く遊歩道を歩くことにした。
この辺りの情報は、日本のガイドブックに載っていなかったが、なかなか侮れない。進むにつれて人は減り、それでいて双亀天游、迷魂台といった展望地からの眺めは素晴らしい。まさかこれほど観光開発されているとは思わなかったが、なかなかの場所である(でも、考えてみれば百龍エレベーターで近くまで上がれるので、意外に手軽なスポットなのかもしれない)。
ともあれ、こうして袁家界周辺を巡ったところで、満を持して茶盤塔を目指す。もう夕方近くになり、天子山方面に向かう人もバスもほとんどなかった(それゆえ、30分近く待たされた)が、これ幸いに、運転手に下車ポイントを指定することができた。後は時間との闘いだが、果たして間に合うのだろうか…