この日の起床は夜明け前、5時半であった。朝食を簡単に済ませると、不要な荷物を置いてさっそく出発。白み始めた空のもと、一路キングス・キャニオンへ駆けつけた。
駐車場に到着すると、まだ陽が昇っていないにもかかわらず、かなりの数の車と人で賑わっている。日中の暑さを警戒してか、ツアーのほとんどは早朝出発になっていたが、予想を超える混雑であった(だからツアーは避けたかったのだが、それ以外には高価なレンタカーしかない…)。
今回は約6kmの周回コース、キングス・キャニオン・ウォーク(The Kings Canyon Walk)を歩く。通常は時計回りのようだが、混雑を避けてか、ガイドは逆コースで歩行開始。その後に付いて緩やかに登っていくと、さっそく多数の奇岩が見え始めた。陽も当たり出して、なかなか神秘的な景色だ。私は写真を撮りながら、時折離されかけながらも、どうにか最後尾で付いていった。

朝陽を浴びる奇岩

変化のある景観が続く

ロストシティの奇景
しばらく岩の間を歩いていくと、やがてロストシティ(Lost City)と呼ばれる奇岩帯を眺める展望台が現れた。バングルバングルを小さくしたような、なんとも不思議な世界である。ここからさらに岩盤を進むと、ほどなくして断崖の淵に到達。これぞキャニオンの真骨頂で、高さ最大270mの岩壁が作る渓谷を真下に眺めることができる。ここまで来ると逆から来た人も多くなり、大変な賑わいであったが、この切り立った岩から谷底を見下ろして、その迫力を存分に味わった。

キングス・キャニオンの岩壁
ところが、ツアーの悲しさか、じっくり鑑賞しつくす前に、ガイドは先へ歩き始めてしまった。止むを得ず遅れて付いていくが、何を急ぐ必要があるのだろう…その後、渓谷を巻くようにして奇岩帯を歩き、やがて急な階段を下ってエデンの庭(Garden of Eden)と呼ばれる渓谷に入っていった。

池から岩壁を見上げる

切れ落ちた絶壁
こうして一番奥の池まで足を延ばしたが、見上げると米粒のような人の姿が見える。つい先ほどまではあの上を歩いていたのだから不思議な気分だが、幸運にも他にグループがいなかったので、ここでしばしの休憩となった。

エデンの庭
休憩を終えて元の道を戻ると、まるで待機していたかのように、複数のグループが大挙してやって来た。そして急な登りをこなし、再び崖の上に出て奇岩を縫うように歩くと、まもなく分岐が登場。ここでいったん左に進み、渓谷の奥へ進んでいく。
ところが、ガイドはなぜか近くの展望地に腰を下ろし、休憩してしまった。しかしこの道は、先ほど下から眺めた渓谷奥地まで延びており、そこからの方が迫力ある眺めを得ることができる。しばらく休みそうだったので、私はするするっと抜け出し、秘密裏に先に進んだ。

砂岩層の妙
休憩中のメンバーを尻目に進んでいくと、案の上、ずっと迫力ある景観が広がっていた。先のコフテリル展望台(Cofterill's Lookout)まで行くと、渓谷両側の絶壁、それに背後にはエデンの庭を眺めることができる。なかなかの景色だ。
そこで懸命に撮影していると、不在に気づいたガイドが、大声で戻ってくるよう警告してきた。OKと答えつつ、さらに数枚撮影しようとすると、勝手な行動にキレたのか、こちらに向かってきて「戻ってこい!」と言う。ここまで、多少遅れても文句は言われなかったので油断していたが、もう怒り気味だ。残念だがここで撮影を断念し、しぶしぶ引き返していった(やはり自由に動けないのは辛い…)。

キャニオンの絶壁
それからは、私は団体行動を乱す者として徹底マークされてしまい、展望地に着いても自由に撮影できる状況ではなくなってしまった。そして渓谷最後の展望を見届けたら下りに取りかかり、まもなく周回達成。駐車場は相変わらずの混雑であったが(ちょうど下山のピーク)、少し休んだら車に乗り込み、元のキャンプ地に戻っていった。

キャニオン核心部を望む
キャンプ場で昼食を取り、片付けと掃除を終えると、後は帰るのみなので、5時間かかってアリススプリングスに戻っていく。最後に怒られてしまい、後味の悪い展開になってしまったが、事情を考えると止むを得ないところだろう。
そして翌日、街中での買い物を終えたら空港に向かい、昼前の便でアリスを後にした。まずはシドニーに飛ぶが、眼下には荒漠とした大地が広がり、まだまだオーストラリアの一部しか見ていないことを痛感させられる。この大陸はまだまだ未知の世界が多いので、必ずやまた戻ってきたいものだと思わずにはいられなかった。


上空からの大地
その後、シドニーではターミナル乗換えでバスがなかなか現れず心配した(結局タクシーを利用した)が、チェックインは問題なく、スムーズにオーストラリアを飛び立った。機内はSARSの影響かガラガラで、3人席で横になれるほどだ。そしてソウル経由で無事成田に戻り、まずは第一弾、オセアニア旅行を終えたのであった。