この日は朝から多少雲が出ていたものの、まずまずの天気で、絶好の行楽日和だ。そこで8時過ぎには出立し、再び東に走っていった。
まずはロックアード・ゴージに寄ってみると、朝早いだけあって、人の数がめっきり少なくなっていた。ゆっくり見て周るには、やはりこれに限る。昨日駆け足で巡ったジ・アイランド・アーチウェイなどを再度観賞し、景色の素晴らしさに改めて感銘しながら、この地を後にした。

ジ・アイランド・アーチウェイ
次は十二人の使徒だ。ここはロックアード・ゴージよりは混んでいたものの、昨日と比べれば雲泥の差だ。さっそく足を運ぶと、9時過ぎということで、奇岩にもだいぶ光が差してきたところであった。名所だけあって絵になる光景である。
ここでは様々な角度から眺めることができるので、人が少ないのを良いことに、いろいろと動いて使徒たちの表情を探っていく。まだあまり賑々しくないせいか、使徒たちはどことなく穏やかに見える。しかし、そうこうするうちに客の数が増えてきたので、展望を満喫したところで次の目的地に移動することにした。

十二人の使徒

突端の展望台より
続いて、昨日はわずかに垣間見た程度であったギブソン・ステップスに赴く。こちらはまだほとんど人が居らず、とても静かだ。そこでさっそく断崖を下りていくが、岩には数多くの落書きがあって、オージーや他国の観光客の倫理を疑いたくなる…
それはともかく、下まで下りると、さすがに断崖の迫力が違う。今にも崩れ落ちそうなほどの高さがあり、恐ろしいぐらいだ。その迫力に圧倒されながら、断崖に沿ってビーチを西に歩いていった。
昨日は潮が満ちてきて奥には行けなかったが、今朝は潮が引いており、問題なく歩くことができる。左手の奇岩は、初めは1つにしか見えないが、歩くにつれて、隠れていたもう1つが姿を現してくれる。2つの奇岩を角度を変えて見たところで、さらに行ける所まで行こうと、十二人の使途の展望台がある真下まで歩いていく。
迫力の断崖も、海際では波に浸食され、そこに藻類が生えているのが見える(波を栄養分にしているとは、しぶとい…)。時折展望台に人の姿が見えるが、あちらからは私はどう見えるのだろう? いずれにしても、この景色を独り占めするなんて、とても贅沢だ。

ギブソン・ステップス

ギブソン・ステップスで見られる奇岩

迫る断崖
ここで しばらくゆっくりして、1時間あまりでようやく戻ることにした。この頃になって、ようやく人の姿が見られるようになってきたが、ここは素通りして、今度は東のビーチを歩いてみることにした。
こちらはしばらく浜辺が続くが、やがて岩場が登場し、少々苦労させられる。おまけに断崖の高さも徐々に低くなってきて、先ほどのような迫力は感じられなくなってしまった。そこであっさり引き返すが、ビーチに下りてくる人の数はどんどん増えており、もはやかなりの賑わいだ。もう十二分に堪能したので、ここでようやく駐車場に上がることにした。

ギブソン・ステップスのビーチより
ギブソン・ステップスを後にすると、もうポート・キャンベル周辺は一通り見たので、さらに南東にあるケープ・オトウェイ(Cape Otway)にでも行こうかと考えていた。しかしギブソン・ステップスでゆっくりし過ぎたため、今から往復して戻ってくるのはきつい…それなら引き返そう、ということで、東のプリンスタウン(Princetown)でUターンしてポート・キャンベル方面に戻ることにした。
とはいえ、まだ昼時で時間は優にあまっている。とその時、国道からブロークン・ヘッドまでの道をまだ歩いていないことに気づいたので、ひとまずそこに行ってみることにした。
国道から少し入ったところに車を停めて、さっそく歩き始める。最初は草が生い茂って歩きにくかったが、しばらくすると、前方に美しい海岸線が広がり始めた。砂浜まで下りていくと、複雑に入り組んだ海岸線が露わになり、ブロークン・ヘッド方面の景色がより美しくなってきた。
ここで昼食を取りながら辺りをじっくり観賞するが、やはり歩いてみないとわからないものだ。昨日歩いたコースからさほど離れていないのに、時間帯の違いもあって、全然別のところのように思えてしまう。穴場は間違いなくあるものだと確信して、やがて車へと引き返していった。

ブロークン・ヘッド (奥)

ブロークン・ヘッド周辺のビーチより
車に乗ったら、すぐに宿に戻ろうと思っていたが、1つ気になることがあった。それは国道から車で脇道に入る際、もう1本別の道があったことだ。時間はまだあるので、試しにそちらにも足を向けると、道はすぐに終わってしまったが、ここから海岸線方面に進むルートがあるではないか。
そこで車を置いて歩いてみると、ほどなくして正面にセンチネル・ロック(Sentinal Rock)の展望地にたどり着いた。さらに海岸線まで下りていくと、ビーチを歩くことができ、赤みを帯びた印象的な断崖を間近に見ることができる。この辺りのえぐられた断崖も迫力があり、仰け反って見上げるほどの高さがある。こんなところに普通の観光客が来るはずはなく、1人のんびりとこの景色を眺めたのであった。

センチネル・ロックを望む

センチネル・ロック東の断崖
これに味を占めて、それからは穴場に通じるような脇道がないか、探しながらの走行となった。するとまもなく、海岸線までの1本道が出現。さっそく歩いていくと、今度はセンチネル・ロックを真横から眺められる展望台に到達した。そこからさらに歩くと、西側の入り組んだ断崖やマイナスに切れ落ちた断崖などが見られる。足がすくみそうになるほどの迫力だ。

センチネル・ロック

センチネル・ロック周辺を望む

センチネル・ロック西の断崖
戻ってさらに車を走らせると、またしても脇道を発見した。ここも歩いてみると、今度は先ほどとは逆側から断崖が覗け、さらに西側の奇岩や断崖の景観も眺めることができる。普通なら、これらは全て見ないで通り過ぎてしまうのだが、なんと穴場の多いことだろう。

センチネル・ロック方面を遠望
この先はしばらく脇道がなかったので、もう終わりかと思われた。先ほど見えた奇岩を逆側から見てみたかったが…と思っていたところ、非常にわかりにくいながらも脇道を発見した。さっそく車を停めて歩いてみると、やがて海岸線の断崖に達し、先ほどの奇岩を逆から眺めることができる。もうポート・キャンベルにだいぶ近づいていたので、逆側は見慣れた景色になっていたが、最後の最後まで穴場は健在であった。

来し方を振り返る
こうして有益な穴場探しを終えて宿に戻り、存分にグレートオーシャンロードを堪能したのであった。
しかし翌日はあいにくの曇天で、霧まで発生して何も見えない状況であった。今日中にメルボルンに戻ってレンタカーを返却することになっていたので、もう奇岩展望は諦めて東へとひた走っていく。途中、アポロ・ベイ(Apollo Bay)の手前でマイツレスト(Maits Rest)に寄ってみるが、残念ながら大した森ではなかった(どうもこの国では、森と滝は期待できないようだ)。
アポロ・ベイからは海岸沿いのドライブが続くが、いかんせん天候が芳しくないため、景色はイマイチである。ひたすら海岸線を走り抜けて、人気のリゾート地、ローン(Lorne)は通過して先を急ぐ(この周辺には滝が多いらしいが、あまり期待できないので寄るのを止めた)。トーケー(Torquay)まで来るとようやく晴れ間も覗くようになり、天気が回復してきたようだ。

ローン周辺の海岸線
北上してジーロン(Geelong)まで来ると都市の色合いが濃くなり、道も複数車線が当たり前になってくる。その後はハイウェイをメルボルンに向けて疾走し、1時間ほどでメルボルン市街に到着。中心部にたどり着くのに少々苦戦したが、それでも予定より数時間早く帰着することができた。
メルボルンからは、次の目的地、シドニーまで夜行バスを利用することにしていた(サマーキャンペーンで、通常の半額でチケットを確保)。そしてチェックイン後は待合室で静かに過ごし、夜8時発の便で、12時間かけての大移動を開始した。