今日からは、オーストラリアを代表する景勝地、グレートオーシャンロード観光に出かける。チェックアウトの際にその旨伝えると、「時間があるなら」ということで、近くのタワー・ヒル(Tower Hill)に行くことを勧められた。地元の人が勧めるところに外れは少ないので、まずは寄り道として、昨日来た道を引き返してみる。
15kmほど西へ向かい、やがてタワー・ヒルを周る道に入ったが、入口がわからない…仕方ないので出口に車を停めて、歩いて周ってみることにした。ここは2万5000年前の噴火で出来た島と湖ということだが、何かが違う…写真では満々と水を湛えた湖に島が浮かんでいるが、実際には水はほとんどなく、一部が湿地状になっているに過ぎないのだ。
それでも、何かあるに違いないと思って歩いてみるが、エミューは良く見かけるものの、その他には特に目新しいものはない。噴火口などもあるが、これも大したものではなく、落胆しながら周回した(1時間ほどかかった)。
戻ってからは周囲の道を走り、展望台からも眺めてみる。ここからならカルデラ状の地形がよくわかるので、それなりに景色を楽しめるが、やはり水がないのは寂しい。期待外れに終わってガッカリしつつ、ウォーナンブールへ戻っていった。

タワー・ヒル
ウォーナンブールに戻ると、今度は北に向かってホプキンス滝(Hopkins Falls)を目指す。ここはミニ・ナイアガラとして地元のパンフレットに紹介されており、写真を見る限り美しい所だったのだ。
そこで標識に導かれながら、途中からは脇道を走っていく。そして滝に到着すると、水の流れる音とともに滝が姿を現したが、想像していたような規模ではない…まさに「ミニ」だ。水量も少ないので、迫力も感じられない。写真に騙されたか、と思いながら早々にこの場を去り、しばらく走ったところでグレートオーシャンロード入口の看板が登場。ようやく本来のルートに入っていった。

ホプキンス滝
ずいぶん道草を食ってしまったので、走り始めた頃にはもう昼時を迎えようとしていた。仕方なく途中の田舎町でテイクアウェイを購入し、準備万端で走っていくと、しばらくして突然、海と奇岩が現れた。ベイ・オブ・アイランズ(Bay of Islands)という、ウォーナンブール側の景勝地にやって来たのだ。美しい海と奇岩の織り成す景色に、これがグレートオーシャンロードか!と感激する。
そこで展望台入口の駐車場に車を置き、展望台からの絶景を眺める。写真では見ていたが、やはり実際に目の当たりにすると感激の度合いが違う。幸いにもそれほど人は多くないので、じっくりと観賞できるのも良い。点々とする奇岩がまた絶妙で、絵になる風景がいくつも広がっていた。
一通り拝見したところで人が増えてきたので退散し、今度は少し戻ってボート・ベイ(Boat Bay)から眺めてみる。ここからは、道沿いから初めて見た景色をより間近に眺めることができ、人もいないので穴場と言える。ビーチまで下りることもできるので、下からもこの絶景を眺めることが可能だ。ここで再び時間を費やし、様々な角度からこの景観を味わい尽くしたのであった。



ベイ・オブ・アイランズの風景
かなり長居したので先へ進むが、走り始めてすぐに、右手に絶景が広がり始めた。そこで急遽脇道に車を入れ、歩いて海岸近くまで行ってみる。ここはクロフツ・ベイ(Crofts Bay)というところだが、たいていの車は通り過ぎていってしまう。しかしこの景観を見ないのはもったいないので、ここで雄大な景色を眺めながら、購入しておいた昼食を取ることにした。

クロフツ・ベイ
昼食後は、時折現れる景勝を横目に見つつ、車を東へ走らせていく。やがてベイ・オブ・マーサーズ(Bay of Martyrs)で再び停車して、海に洗われた断崖絶壁などを鑑賞。周囲には簡単な散策路が設けられており、断崖の突端から景色を眺めることもできる。遠くにはベイ・オブ・アイランズの奇岩も見え、これまでの景観を省みるのにも良いところであった。


ベイ・オブ・マーサーズ
ここからペターボロー(Peterborough)を過ぎてしばらく走ると、やがてザ・グロット(The Grotto)の入口が現れた。ここに車を停めて歩くと、断崖の途中まで下りていって、断崖をくり貫いた穴から海を眺めることができる(ただし、途中の岩には数多くの落書きがあり、気分を害されてしまった…)。

ザ・グロット
続いて、ロンドン・ブリッジ(London Bridge)とジ・アーチ(The Arch)の景勝が現れた。ロンドン・ブリッジは十数年前に「橋」が落ちてしまっており、少々物足りない印象だ。一方のアーチは綺麗な形をしているが、まぁ普通だろう(こういうふうに感じるのは、この手の景色にだんだん慣れてきたせいもある)。

ロンドン・ブリッジ

ジ・アーチ
ここを越えたら、一路ポート・キャンベル(Port Campbell)に向かう。街の少し手前にはポート・キャンベル・ディスカバリー・ウォーク(Port Campbell Discovery Walk)があり、『地球の歩き方』には「最もグレートオーシャンロードらしい海岸線が一望できるおすすめコース」とあるので、期待半分で歩いてみることにした。
ところが、ポート・キャンベル・ベイの横を歩いた後は大した展望もなく、「海岸線が一望できる」と言っても変化に乏しい。幸い天候に恵まれて遠くの奇岩まで見通せるが、それでもわざわざ歩くほどではない。いちおう終点の2マイル・ベイ(Two Mile Bay)まで歩いたが、元の道を引き返すのもなんなので、後は車道歩きで駐車場に戻り、そのままポート・キャンベルに向かった。
ポート・キャンベルで少々休息したら、さらに東に走り、最も有名な景勝地へと足を踏み入れることにした。しばらく飛ばしてヘリコプター・ツアー入口などを通過していくと、やがて前方に美しい海岸線の風景が飛び込んでくる。変化に富んだ美しい景色だ。
ほどなくしてロックアード・ゴージ(Loch Ard Gorge)に到着。さっそく駐車場に入ると、観光バスや乗用車が一杯で大賑わいだ。ここまではそれほど混んでいなかっただけに、あまりの混雑に閉口してしまう。それにもめげずにロックアード・ゴージを歩こうとすると、たちまち渋滞に巻き込まれてしまい、じっくり見ることなどできない…これではどうしようもないので、ひとまず観光客の少ない、西側の地域から見て周ることにした。

ロックアード・ゴージ
歩き始めてまもなく左折し、海岸線側を進むと、正面にマトンバード島(Muttonbird Island)が現れた。侵食されて入り組んだ海岸線が美しい景観を作り上げている。この島を様々な角度から眺めてからは、さらに西に向かい、ブロウホール(Blowhole)、海中洞窟となっているサンダー・ケーブ(Thunder Cave)などに立ち寄り、突端のブロークン・ヘッド(Broken Head)まで足を延ばす。だいぶ断崖絶壁の海岸線も見慣れてきたが、それでもこの辺りは結構楽しめるものだ。

マトンバード島 (奥) 周辺の海岸線

マトンバード島展望台より

サンダー・ケーブ
こうして駐車場まで引き返すと、先ほどよりは幾分人が減っていたので、ロックアード・ゴージ周辺も観光することにした。
まずは左寄りの道を歩くと、アーチ状の島、ジ・アイランド・アーチウェイ(The Island Archway)が現れる。その先には細長いザ・ラゾルバック(The Razorback)などの奇岩が美しい景観を編み出している。それから残りの道もくまなく歩いて、アーチウェイを違う角度から眺めたりして過ごした。

ザ・ラゾルバック

ザ・ラゾルバック周辺の奇岩

ジ・アイランド・アーチウェイ横の断崖
ここを一通り見終えると、続いて最も有名な十二人の使徒(Twelve Apostles)にも足を向ける。既にだいぶ陽が傾いており、着いた頃には岩は陰になっていたが、それはそれでシルエットになっていて美しい。しかし、ここも大勢の観光客でごった返しており、とてもゆっくり見ている暇はない。明日再び再訪することを誓い、さらに東のギブソン・ステップス(Gibson Steps)にも立ち寄って帰途についた。
ポート・キャンベルに戻ってYHAにチェックインした後は、夕陽に備えることにした。当初は十二人の使徒で夕陽を眺めようと思っていたが、あの混雑と移動の手間を考えると、とても乗り気にはなれない。そこで、すぐ近くのスターゲス・ポイント(Sturgess Point)で日没を見送ることにしたのである。
車で走ると、ものの数分で到着してしまったが、辺りには誰もいない。陽はちょうど沈みかけており、湾越しの断崖と夕陽が美しいコントラストを描いている。やがて日没を迎えると、太陽は美しい光線を放って、断崖の奥に沈んでいった。
おそらく、名所だったらこうはじっくり眺められなかっただろう。この選択が正しかったと確信して、ツアー客で賑やかな宿へと戻っていった。

ポート・キャンベルに沈む夕陽