今日でジュノー滞在4日目となるが、相変わらず天気が悪く、重苦しい雲に支配されている。とはいえ、今日は雨に降られていないし、もう最終日だったので、近場の見所、メンデンホール氷河(Mendenhall Glacier)を探訪することにした。
と言っても、いきなり氷河近くのビジターセンターに赴き、展望台から眺めるのでは面白くないので、まずは氷河の西側を歩くトレイルに向かう。市バスを利用し、モンタナ・クリーク・ロード(Montana Creek Road)の分岐で下車。ここから舗装路を歩いてトレイルヘッドを目指すが、キャンプ場を過ぎてメンデンホール・レイク(Mendenhall Lake)の脇を進むようになると、早くも部分冠水しているではないか。この先大丈夫か、さっそく不安になってしまった。
平坦なトレイルを歩き始めると、予想通り、早くもトレイルが冠水している。長さ10mぐらいだったが、ここは脇を歩いて難を逃れる。しかし、まもなく新たな刺客が現れ、今度は30mはあるような、大規模な冠水である。これには参ったが、仕方なく横の踏み跡を入っていくと、それはそれで湿地帯に迷い込んでしまい、抜け出すのが大変だ。道なき道を歩き、沢を飛び越えたりしてトレイルに戻ったが、結果的に結構濡れてしまった。こんなことなら真っ当に歩くべきであった。
東南アラスカは降水量が多いだけあって、この辺りは分厚いコケに覆われ、深い森の中を歩くこととなる。湖や氷河は望めないが、森好きならたまらないだろう。

メンデンホールのコケ
道は次第に傾斜を上げ、ジグザグに登るようになる。岩が濡れて滑りやすいので注意が必要だが、登るにつれて氷河の姿が見え始め、段々と迫ってきた。しかし、岩がちの場所に出ると険しさが増し、所々で難所も登場する。半ロック・クライミングのようにして先に進むが、これは思ったより大変だ。
どうにかクリアして岩の上に立つと、眼前には雄大なメンデンホール氷河が広がり、大きく割れたクレバスの様子も手に取るようにわかる。途中では小雨もぱらついていたが、今は雨も止んで、氷河にかかっていた雲も取れてきている。思ったよりも素晴らしい眺めだったので、これは苦労して歩いてきて良かった。

メンデンホール氷河

激しいクレバス

氷河下流を望む
しばらくはここで休み、昼食を取ったりするが、天候は徐々に回復し、それとともにヘリコプターが頻繁に飛んできて騒々しくなった。やがて10代の大グループが来て一層騒々しくなったので、ここが潮時と判断して帰路についた。
帰りも滑りやすい道と冠水部分に苦戦したものの、途中からは開き直って歩き、無事に湖畔まで降りることができた。それから道路に沿って湖の周りを反時計回りに歩き、ついでなのでビジターセンターにも訪れることにした。
道路を延々歩いて到着となるが、ここは車で来られるので、大変な賑わいであった。それでも、夕方間際になって人は減り出し、氷河を望むフォト・ポイント(Photo Point)には数人しかいなかったので、じっくりと氷河を望むことができた。

メンデンホール氷河の眺め
これでもう満足だったので、バス停まで走って引き返し、何とか最終バスに乗り込む。ところが、今日は日曜日なので途中の車庫までしか行かないという。そんな…
とりあえず車庫まで乗せてもらうが、ここから街まではまだ遠く、とても歩ける距離ではない。タクシーを呼ぶしかないのだろうか…と思い悩んでいたところ、不憫に思ったのだろうか、運転手が気を利かせて「これから街に帰るので、乗せていってあげるよ」と言ってくれた。これはかたじけないこと。感謝して乗せてもらった。
気がつけば天候は急速に回復し、随分と青空が広がり出している。もう少し早くこうなっていればもっと楽しめただろうに、残念なことだ。ある程度は覚悟していたものの、これほど雨に苦しめられると思っていなかったので、恨めしい晴れ間であった。
そして翌昼、ジュノーを発ってアンカレジ(Anchorage)まで一気に飛んでしまう。本来ならカナダのユーコン(Yukon)経由で向かうべきだったろうが、旅を計画した春先には、まだユーコンがどれほど魅力的な場所か知らなかったので、国境越えの面倒を回避したのだ。後から考えるともったいない気はするが、それでも、機内から見下ろすアラスカの山々と氷河はなかなかのもので、実に雄大な景色がそこかしこに広がっている。グレイシャー・ベイ周辺のフェアウェザー山脈(Fairweather Range)やセント・エライアス山脈(Saint Elias Mountains)、有名なコロンビア大氷河(Columbia Glacier)も一望でき、お得なフライトであった。

雄大な景色が広がる

コロンビア大氷河