インティプンクに上がると、ついにマチュピチュ遺跡が姿を現した。が、思っていたより距離があって小さい…しかも、周りにはたくさんのトレッカーが先乗りしていて、記念撮影やら何やらで、極めて賑やかであった。汗をかきながらアクセク登り、感動の対面を期待していたのだが、初対面は肩透かしを食らった格好だ。

インティプンクよりマチュピチュを望む

霧に包まれたマチュピチュ
しばらく腑に落ちない思いを抱きながら過ごしていると、霧が下から上がってきて、マチュピチュを包むようになってきた。一刻も早く下って間近に眺めたいが、ちょうど後続が現れたところなので、1人で勝手に動くわけにはいかない。もどかしい限りだ。
すっかり霧に隠れたところで、歩行を再開する。緩やかな道を下っていくと、最初はガスがかかって面白くなかったが、ほどなく雲が上がり、再びマチュピチュが見えてきた。周囲も静かで、ようやく神秘の都に近づいている気分になったが、ふと振り返ると、後続部隊が続々と追ってきているのがわかる。これも一時の風情か…
マチュピチュはまたも霧に隠れてしまったが、淡々と歩いていくと、やがて段々畑(Andenes)が広がるようになり、横にはリャマ(Llama)がのんきに佇んでいる。彼らは絶好の被写体で、しばらくは人気の的になっていた。そして、見張り小屋の前まで来ると、眼前には遺跡が広がり、写真などで良く見られる景色が広がる。ただ、向かいのワイナピチュ(Huayna Pichu)が見えないのは口惜しい限りだ。
ここで休憩となったので、周囲を歩き回りながら、霧が消えるのを願う。が、そう簡単にはなくならない…ヤキモキしながら待っていると、ようやく霧が上がりだし、峰の姿が見えてきた!と思ったら、ここで時間切れらしく、ガイドが「ノブヤ、行くぞ」と言い出した。くそ~、何てタイミングが悪いんだ!

リャマ

空中都市・マチュピチュ
団体行動の辛さを味わいながら撤収し、下り始めると、まもなく霧が上がり、ワイナピチュが姿を現した。それ見たことか!しかし、ガイドは目もくれず、一目散に下っていくではないか。少しはこちらの気持ちも察してくれ…
泣く泣くゲートまで下ると、荷物を預けていったん外に出る。トイレ休憩を挟んで再入場すると、今度はガイドに従っての遺跡観光となった。段々畑を通り、水汲み場(Las Fontanas)、陵墓(La Tumba Real)、太陽の神殿(Templo del Sol)、王宮の神殿(Aposento de la Ñusta)と巡っていく。さすがに世界遺産に指定されているだけあって、見応えは十分だ。

段々畑が続く

陵墓

太陽の神殿
すると、ここで怪しげな男が現れ、パスポートを持っていれば記念スタンプを押してくれるという。これはラッキーなので、さっそくパスポートを手渡し、マチュピチュ特製スタンプを押してもらった。しかし、荷物の中に置いてきてしまった人もいて、かなり悔しかったようだ。
その後も、インカの歴史に触れながら、3つの窓の神殿(Templo de Las Tres Ventanas)、日時計のインティワタナ(Intihuatana)、貴族の居住区(Tumba Real)、コンドルの神殿(Grupo del Condor)と一通り周り、付き添い観光はめでたく終了となった。

高度な石組みの技術

貴族の居住区を眺める

コンドルの神殿
これでようやく団体行動から解放され、後は午後2時にアグアス・カリエンテス(Aguas Calientes)に集合ということになった。他の人たちは、もうすっかり疲れきったらしく、すぐに下山するという。一方、同行していた個人旅行の男は、ワイナピチュに登ると言って出かけてしまった。私も同行したいところだが、再び雨が降り始めており、峰が望めないどころか、これでは足元が滑って危険だ。どうしたものか…
しばらく雨宿りしていると、クスコからの列車が到着したのか、だんだんと観光客で騒々しくなってきた。皆合羽を着ているので余計目立つのだが、それにしてもこの喧騒は耐え難い。ここで決断しなければ!
すると、一瞬だがワイナピチュの姿が見えたので、これは可能性があると推測し、ワイナピチュ登山を決意。群集から逃れるように登山口に向かい、記帳をしてすぐに歩き始める。道はいったん下り、そこから急登続きとなるが、かなりの雨にもかかわらず、道中には観光客が非常に多い。天気が変わらないうちにと、駆けるように登っていくが、思ったよりも急な道が続いて、すぐに息切れしてしまった。明らかに飛ばし過ぎなので、少しペースを落とすことにした。
それでも先行する人たちを追いつき追い抜いていくと、やがて視界が開けてきた。が、ここからは道が一層怪しくなり、妙に狭い階段を登る羽目となる。足を滑らせないよう注意しながらこなし、岩がちの道を這い上がっていくと、30分足らずで無事山頂に到達することができた。しかし、辺りは一面霧に覆われ、何も見えない…やむなく天気の回復を待つことになった。
山頂の岩の上には大勢の人がたむろしていたが、雨が降り、風も強くて居心地は良くない。20分も経つと、もう諦めたのか、続々と下山していき、周囲には未練がましい人が数名取り残された。こちらはのんびり構えていたが、なかなか霧は晴れず、徐々に不安が募ってきた。もうちょっとしたら帰らないといけないのだ。何とかしてくれ!
すると、1時間あまり経ったところで、ようやく雲が部分的に切れて、眼下にマチュピチュの遺跡が見えるようになってきた。以前テレビでは、これがコンドルの形をしていると言っていたが、それを確認できるほどではない。が、断崖絶壁の地に造られたということはよくわかる。時間がないことだし、これでひとまず良いとして、下山の途についた。

ワイナピチュより
帰りは月の神殿(Templo de La Luna)に寄ろうと思っていたが、そんな時間はなくなってしまったので、慎重かつ大胆に駆け下りていく。下山口まで戻ると、聖なる石をはじめ、周囲は観光客でごった返しており、もう遊園地のようだ。噂には聞いていたが、これにはガックリ。もはやマチュピチュの荘厳さを味わうことなど不可能なので、後は淡々と帰っていった。すると、出口付近に来たところで晴れ間が覗くようになり、ワイナピチュも綺麗に望めるようになった。もう少し早くこうなってくれれば…

さらばマチュピチュ…
なんとか時間前にアグアス・カリエンテスに到着すると、他の人たちはすっかりお休みモードでのんびり過ごしていた。そして、3時の列車に乗ってクスコに戻るが、列車が遅れていたせいか、我々は途中でバスに乗り換えてクスコに向かう。すっかり暗くなった頃、無事クスコに帰着したが、今日は地元のサッカーチームが勝利したとあって、街中は大変な盛り上がりだ。しかし、個人的にはどうでも良かったので、宿に着いてシャワーを浴びたら、さっさと就寝したのであった。