サンティアゴで1夜過ごしたら、続いてメンドーサを目指す。ここはワインの産地として有名だが、もう1つ、南米最高峰のアコンカグア山(Cerro Aconcagua:6962m)への入口としても知られている。登頂はもとより狙っていないが、この南壁は、高差2800mもの切れ落ちた大氷壁となっており、是非間近で見たいと思っていたのだ。
メンドーサ行のバスは多いと聞いていたので、気楽な気持ちでターミナルに向かう。が、国内のバスばかりで、目的のバスが見当たらない…すると、売り場の人が声をかけてきて、無償で案内してくれた(これまでの南米では考えられなかった待遇だ)。ミニバスのカウンターではあったが、これで問題なく国境を越えられるので一安心である。
20分ほど待った後、ミニバスは定員一杯に客を乗せて出発。街中を抜けてしばらくすると、急激に高度を上げて、山岳地帯を進むようになってきた。アンデスの山々を間近に望みながら、つづら折の道をひたすら登る。やがてトンネルで国境を越えると下りになり、しばらくで出入国審査となった。

アンデスの山並みが広がる
ここはチリとアルゼンチン合同の建物で、出国・入国ともチェックされる。荷物は全て検査を受けるが、問題なくクリア。再び走り始めると、まもなく左手にアコンカグアが現れた。ここはただ通過するだけだが、とりあえず見ることができて感動である。そして、そのままグングン下って、結局7時間ほどでメンドーサに到着。ターミナル近くのSavigliano Hostelに宿を取って1日を終えた。

一瞬だがアコンカグアが見えた
アコンカグア州立公園(Parque Provincial Aconcagua)に入山するには、メンドーサで事前に許可を得る必要があるので、翌12日には、バスでサン・マルティン公園(Parque San Martín)に赴く。登山のハイシーズンだけあって、ビジターセンターの受付は結構混雑していて驚いたが、ほとんどは登山の申請のようである。
トレッキングの場合、3日間有効のショート・トレッキング(Trekking Corto)と、7日間有効のロング・トレッキング(Trekking Largo)の選択が可能である。いちおう最低3日あれば良いのだが、それだと全く余裕がないので、天候のことも考慮して7日分で申請しておく(料金はUS$50)。発行は思いのほか簡単なもので、すんなりと済んでしまった。
その後は食料調達などに勤しみ(正直、先進国ほどアウトドア用の食料は豊富ではない)、翌朝、ついに起点となるプエンテ・デル・インカ(Puente del Inca)へバスで向かった。なぜかバックパックを背負った人は見かけないが、きっとほとんどの人はツアーか、グループで車をチャーターして行くのだろう。
結局4時間ほどバスに揺られて、目的の集落にやって来た。観光地の割には殺風景なところで、ここから登山口までの交通もないので、仕方なく車道を歩いていく。バックパックの方は、応急処置を施してどうにか担げるようにしたものの、いつ壊れるか不安である。誰一人歩いていない中、オルコネス川(Río Horcones)を渡って西に進むと、しばらくで分岐が現れた。右に入って緩やかに登ると、ようやく登山口に到達。入山手続きを済ませて、無事チェックポイントを通過したのであった(その際、持ち帰り用のゴミ袋を渡される)。
歩き始めるとまもなく、早くもアコンカグアが姿を現した。オルコネス湖(Laguna de Horcones)越しの眺めは特に良く、この辺りは短い周回コースにもなっているので、ちょっと道草で周囲を散策してみる。高台に登れば眺めが良くなり、これからの展開に大いに期待できた。

オルコネスからアコンカグアを望む

オルコネス方面を振り返る
オルコネス湖の脇を登ったら、川に沿って緩やかに下っていく。吊り橋を渡ると、ここからはオルコネス渓谷(Quebrada de Horcones)に沿って着実に高度を稼いでいくのだが、アコンカグアが隠れていくのが残念だ。道中ではロバが行き交っているが、きっと登山者たちの荷揚げをしているのだろう。ご苦労様である。

ロバが行き交う
しばらくは緩やかな登りが続いたが、次第に岩がちの道となり、傾斜もきつくなってきた。高度は3000mを越えているし、考えてみればロライマ山以来、1ヵ月以上ブランクがあるので、見た目よりきつく感じてしまう。我ながら情けない限りだ。
ここを踏ん張って登っていくと、左手にはトロサ山(Cerro Tolosa:5432m)やメヒコ山(Cerro Mexico:5083m)などが見えてきた。この先の台地に出ると、展望はますます開け、右手にはアルマセネス山(Cerro Almacenes:5028m)が頭上に聳え、正面奥にはデドス山(Cerro Dedos:4980m)も姿を見せている。ここまで来ればもう一歩なので、気楽に歩いていった。

トロサ山

メヒコ山 (左) をはじめ、伸びやかな景色が続く
そして、川原に下り始めると、すぐにコンフルエンシア(Confluencia)のキャンプ場が現れた。ここを下れば本日は終了。さっそくチェックインを行うと、レンジャーから高山病に関する注意を受け、水を1日4Lも飲むよう指導された。アルティプラーノで高度順応してきたので、大丈夫だとは思うが…