検索 Google
五輪館
Back|Next
旅巧館旅行記>日本>北海道

旅行記:北海道一人旅

19.芝桜をもとめて (2000/6/2-3:曇時々雨

 念願の芝桜

  それから2週間後の6月2日(金)、何とか仕上げた企画書を携えて、再び北海道庁に出向くこととなった。あいにく天気は曇りがちで、肌寒く、北海道は油断ならないと思いながらも、午前の最後にプレゼンを行い、またしてもわずか20分ほどで仕事は終了してしまった。

  そこで昼に札幌ラーメンを味わったら、芝桜をこの目で見るために、旭川行の高速バスに乗車した。芝桜は、私が北海道で初めて訪れた町・滝上の名物であり、例年5月中旬から6月上旬にかけて満開になる。私が3年前に訪れた時は7月で、一面絨毯のように咲く芝桜を見ることができなかったので、その頃からぜひ一度見てみたいと思っていたのである。

  ただ、今年は4月末に大雪が降った影響などもあって、前回の出張では(まだ三分咲き程度で)時期尚早であり、5月末になってようやく満開になったのを確認した。ようやく今回、満を持して芝桜との対面を果たすわけである。

  旭川に到着してからは、モビリティを確保するため、アポ無しでレンタカー事務所を訪ねて、2日分のレンタルを手続きした。あいにく希望の安い車種はなかったが、希望車種料金におまけしてくれたので、(それなりに)高級な乗用車に安く乗車できラッキーであった。

  さて、この時点で既に午後3時を回っていたが、とりあえず芝桜のあるところを目指して、上川・網走方面をひた走ることにした。しかし、途中の上川でさえ1時間近くかかるため、本日の芝桜見物は早々に断念し、上川から寄り道して、6月に菜の花が一面に咲くという大雪アンガス牧場に行ってみた。

  しばらく走ってたどり着くと、残念ながら時期的に早く、花はほとんど咲いていなかったが、街道から外れたせいで車がほとんど通らず、自然の音しか耳に入ってこないのは心地よかった。ここでしばしのんびり休んで上川に引き返し、隣町(と言っても山越えになる)の白滝村で宿泊先を確保して、豪勢な食事と温泉を満喫したのであった。

View at Angas
大雪アンガス牧場に咲く花

 古代のロマン

  翌朝起きてみると、予報と異なり大雪山方面は晴れていたが、食事を済ませた頃には曇りがちになってしまった。実は芝桜の名所としては、滝上のほかに、網走から南に行った東藻琴村も有名で、今回はどちらにも行きたいと思っていたが、そのルートは天候次第と考えていた。個人的には滝上を最良の状態で見たいと思っていたので、滝上は翌日に賭けることにして、本日は網走方面に向かうことにした。

  ところで、白滝村といっても何も聞いたことがなかった(現にガイドブックには何もない)が、宿にあった冊子によると、石器時代の道具として使われた黒曜石の産地であり、ネクタイピンなどの工芸品もあるという。ちょうどネクタイピンを買っておきたいと思っていたこともあって、チェックアウト時にこの件について問い合わせてみたところ、店を紹介してもらえるという話になり(まさかこんな大事になるとは思っていなかった)、宿の車の案内で走ること数分、小さく「スケナリ工芸店」と書かれた普通の民家に到着した。

  前もって電話していたこともあり、ちょうど家の人が出てきて、案内されるまま工房に入っていった。中央には作業場があり、横には黒曜石の工芸品がずらりと並んでいるが、どうみても積極的に販売しているようには見えない。聞けば、郵便局を退職して(趣味に近いような感じで)行っていて、しかも黒曜石工芸は、村内ではここ一軒のみになってしまったという(それを特産品にするのもどうかと思うが…)。

  そこで、その中で気に入ったダルマと、紅色が入って店主お薦めの品(紅色や茶色の入った黒曜石は珍しく、今ではほとんど採れないらしい)、そして目当てのネクタイピンを購入した。すると、せっかく東京から来たということで、サービスで一品追加していただき、大感謝をしてその場を去った(ちなみに、今でもネクタイピンは毎日欠かさず付けているし、他のものは家に飾ってある)。

Rock art
黒曜石工芸品の数々

 メルヘンの世界

  それから東へ向かおうと思ったが、白滝村は、滝上・紋別・上湧別・遠軽・丸瀬布を周遊する「花回遊」の1つであったので、見逃しがないよう、宿の隣りの「ゲートボール公園」に戻ってみた。すると、小規模ながら芝桜が満開で、川に沿って綺麗に咲き誇っていた(本当はツツジが名物らしいが、ピークは過ぎていた)。

Moss Phlox at Shirataki
白滝で咲く芝桜

  それをしばし鑑賞したら、今度こそ東へ向かうが、遠軽でも「太陽の丘えんがく公園」に芝桜が咲いているとのことだったので、ここでも寄り道してみた。すると、広さはないものの、薄紫と白の絨毯が見事に調和して咲いていて、まるでメルヘンの世界に迷い込んだような感覚に襲われる。ちょっとやそっとの美には揺らがない私ですら、思わず魅了されてしまうほどであった。

Colorful Moss Phlox at Engaru
太陽の丘えんがる公園に咲く芝桜

  こうして芝桜の美しさに感嘆した後、いよいよ大本命の東藻琴村に向かった。この日は西から雨が降るとのことだったので、できるだけ早く到着しようと頑張り、美瑛のような丘の風景をいくつも越えて、12時頃には藻琴山温泉・芝桜公園に到着。ここで初めてカーナビが作動し、芝桜の説明を始めたのには驚いたが、約8万平方メートルの丘一面が芝桜に埋め尽くされる光景と、観光客の多さには、さらに驚かされた。

  車を降り、芝桜をじっくり鑑賞しながらピンク・薄紫色(曇っていたせいか、薄紫色に近く見える)の丘を巡るが、よく見ると、赤・ピンク・薄紫・白など、少なくとも6種類以上の色があることがわかる。有料ながら入退場は自由なので、公園に流れる「芝桜の歌(?)」に興ざめしつつも、外の特産品を食べたり、公園内にある温泉に入ったりしながら何度となく芝桜を味わい尽くし、最後には全体を見渡せる離れた展望地にも行って、遠近両方を堪能したのであった。

View of Moss Phlox
東藻琴芝桜公園上部より

Beautiful Moss Phlox
斜面で色とりどりに咲く

Colors of Moss Phlox
芝桜の花びら

Grand view of Moss Phlox
芝桜公園の全景

  その後、小清水原生花園に向かうも、花がほとんど咲いていなかった(例年6~7月が見頃)ので、少々休んだ後、網走へ、さらにサロマ湖へと走った(翌日滝上に向かうことを考慮して、この日はサロマ湖畔の常呂に宿を確保した)。網走湖・能取湖を通過する頃には雨が本格的に降り始めたので心配したが、4時過ぎにサロマ湖に到着した頃には雨も止んでいた。

  そこで観光名所・ワッカ原生花園に寄ってみるが、外は長袖では耐え切れないほどの寒さであった(後で確認したら、6月だというのに6℃しかなかった…)。ここをレンタサイクルで巡るが、いかんせん尋常な寒さではないし風も強いので、自転車では耐え難い…しかも花はあまり咲いていない状態だったので、誰とも会うこともなく、雨が時折降る中、何のためにこんな辛い思いをしているのかと自問自答せざるを得なかった。

  それでも、意地とプライドのみで最西端まで進み、帰りにはオホーツク海と少し戯れ、震えながらレンタサイクルを返却して宿泊先に戻ったのであった。

Page Top
Copyright © gorinkan.org All Rights Reserved.