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旅行記:北海道一人旅

13.最初で最後のチャンス (1999/9/23:晴後曇

 リベンジ

  昨年に引き続き、今年も大雪山の紅葉を拝みにいくことにした。もういい加減別の土地に赴いたら?と思う方もいるかもしれないが、まだやり残したことがあるのだ。

  それは、昨年見られなかった大雪山の紅葉を見ることと、これまで行きたくても(日程や天候の都合で)行かれなかった場所を訪ねることである。特に大きいのは、昨年途中までしか行かれなかった大雪高原温泉・沼巡りコースだ。ここの紅葉は本当に素晴らしいが、ヒグマの生息地帯であるため、休日でないと一周できない。さらに素晴らしい風景が奥に、昨年ヒグマに妨げられた先にあるのかと思うと、居ても立ってもいられない気分であった。

  そんなこんなで、実は昨年の11月時点で、今秋に再びリベンジすることを心に誓っていたのである。

  ところで、今年の夏は北海道でも異常に暑かったが、これが日程を悩ませることになった。例年、大雪山の紅葉は9月初旬から始まり、高原温泉の見頃は20日頃と言われていたので、当初は9月15~19日を想定していた。しかし、7月に発表された長期予報では暑くなるとあったので、その時点で23~26日に変更したのであった。

  ところが、その後もなかなか冷え込まず、想像以上に紅葉は遅れていた。だからと言って今さら日程を遅らせるわけにもいかず、最高の風景が見られるよう、最後の冷え込みに期待するしかない。後は気候と運を天に任せて、最高の景色が見られるよう祈るのみであった。

 スタートダッシュ!

  こうして22日の夜、AIR DOの最終便で新千歳空港に降り立つと、既に19時を回っており、心なしか冷え込んできていた。ここで、今回は行動の自由を拡大するためにレンタカーをチャーターし、意気揚々と旅をスタートしたのであった。

  とはいえ、大雪山までは最低でも3~4時間かかるため、22日の宿泊は確保できないでいた(層雲峡では一杯で断られた)。ところが天気予報によると、天気に恵まれそうなのは明日23日ぐらいで、後は台風の影響等で天候が良くないという。今回の旅の最大の目的は、最高の条件で大雪高原温泉の沼巡りコースを見ることだから、もはや23日は最初で最後のチャンスであり、もう行くしかなかったのである。

  そこで、宿泊は車中で済ますこととし(かなり寒かったので途中暖房を入れざるを得なかった)、旭川近郊の「道の駅」で仮眠を取った後、暗いうちから高原温泉目指して走っていった。

  高原温泉近くの駐車場には朝の5時半頃に到着したが、その時点で既に10台程度の車が停まっており、その後もぞくぞくと押しかけてきた。天気は快晴で、おそらく常連の人も初めての人も、今年最初で最後の紅葉沼巡りのフルコースを期待したのだろう。6時半始発のシャトルバスは定刻より早く出発し、2台続けてスタート。私はこの混雑を避けるため、1台目の先頭に乗車して入山受付をトップで済ませ、他を圧倒するスタートダッシュで進んでいった。

  今年は紅葉が大幅に遅れていると聞いていたが、実際その通りで、正直歩き始めの方はとても紅葉とは言えず、期待外れであった。しかし、見せ場になるとそれなりに見せてくれるもので、ハイライトの沼では多少色づき始めていた。そして、昨年行かれなかった緑沼の先へ…と勇んで飛ばしたものの、緑沼の先はボランティアがヒグマの動きを確認中とのことで、完全に足止めを食らった。これが結局1時間近くかかったため、後から来る人たちがあふれ、長蛇の列となってしまった。

Green Pond
緑沼

  その後、1周はできないものの、高原沼までは通行可能ということになり、さっそく未知なる世界へと足を踏み入れる(後から聞いた話では、通ったコース中にもヒグマの足跡があったらしい)。最初は普通であったが、徐々に高度が上がるため展望が素晴らしくなり、それだけでも必見なのに、紅葉まで付いている。これはまさに息を飲む美しさであった(私はカメラマンに徹していたが、一回だけ、思わず「素晴らしい」と言ってしまった)。特にエゾ沼と大学沼、それに高原沼の景色や風情は素晴らしく、天候の良い時に来て良かった、と実感できた。

Kamo Pond
鴨の沼

Ezo Pond
エゾ沼

View of Ezo Pond
エゾ沼を見下ろす

Shikibu Pond
式部沼

Daigaku Pond
大学沼

Kogen Pond
高原沼 (後ろは緑岳)

 鳴き声は聞こえるのに

  高原沼を引き返してからは、行きに比べてじっくり景色を堪能しながら戻ったが、さすがに祝日ということで、逆方向からどんどん人の波が押し寄せてくる(約1,000人来ていたという)。それをかわしながら元の地に戻ると、とりあえず高原温泉に入浴。それでもまだ11時頃であり、天気も良かったので、次に緑岳登山に向かうことにした。

  このコースは最初と最後がきついので、急がず焦らず、自分のペースで進むことにした。最初の登りを終えてお花畑に到達すると、緑岳とお花畑の紅葉の景色に、ふいにキタキツネが現れ、私のすぐ近くをうろついていった。ただ、警戒心の強いナキウサギやシマリスとなると、祝日で登山客が多い状況では、鳴き声は所々で聞こえるものの 姿を見出すことは極めて困難である。

  それでも、高根ヶ原方面の景色は素晴らしかったので、霧で何も見えなかった昨年に比べれば、最後のガレ場の急勾配もまだマシであった(でも疲れた)。

Green Mountain
緑岳とお花畑

View of Takanegahara
高根ヶ原方面の眺望

  頂上に登りつめると、東から雲が攻めてくるのが見えたので、休憩もそこそこに、早めに下山することにした。午後になるとさすがに登ってくる人は少なくなるので、私が下山し始めた時には、周りに誰もいない状況であった。

  すると、ふと近くでナキウサギの鳴き声が聞こえたので、辺りを見まわすと、なんと3mぐらい先の岩の上にナキウサギがいるではないか! そこで急いでビデオカメラを取り出し、撮影体制を整えたが、若干手間取ったため、タッチの差で逃してしまったのだ!! 悔しくて悔しくて、それからしばらく探し回ったが、私をあざ笑うかのように、鳴き声は聞こえるものの、姿を再び見つけることはできなかった…

  結局、膝がガクガク状態で何とか下山し、最終シャトルバスに乗って高原温泉を後にした。そして、その日は然別峡かんの温泉に宿泊する予定だったので、三国峠、幌鹿峠、さらに人気の全くない林道を(ここで事故を起こしたら何日も気づいてもらえないだろうな、などと思いながら)走り抜け、無事午後6時頃到着した(辺りはもう真っ暗…)。

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