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旅行記:北海道一人旅

11.台風一過 (1998/9/22-23:晴時々曇後晴

 縦走断念

  昨日、思い切って2つの名勝を訪ねたが、その選択は結果的に正しかったようだ。というのも、こんな時に台風が2つも続けてやってきたからである。

  そのため、ユースのツアーも急遽「地ビール&温泉ツアー」が組まれたりと、紅葉見物には最悪の事態となった。私自身も、連続台風であればこれ以上層雲峡に留まっても意味がないと判断し、急遽3泊目をキャンセルし、4日目の宿泊地・旭岳温泉への足がかりとして、とりあえず旭川に移動することにした。本当は、天気さえよければ層雲峡から旭岳まで縦走しようと考えていたのだが、とてもそれどころではなかった。非常に残念ではあるが、やはり自然には勝てないのである(無理して行って、死んでしまったらシャレにもならない)。

  とはいうものの、まだ黒岳周辺は巡っていなかったので、さっそくロープウェイとリフトを乗り継いで7合目を目指す。しかし予想通り、途中からは見通しが効かなくなり、しかも雨が本降りになってきたので、先行きに不安を覚えずにはいられなかった。その先はさらに雨がひどくて、雨合羽を借りていたにもかかわらず、かなり服が濡れてしまった。それでも、時々覗けた紅葉の絨毯や、すぐ横の木々草々の紅葉を見ると、天気の良い見頃にくればさぞ美しいのだろうと思わせる景色であった。

  結局7合目まで行き、しばらく景観を(時折霧に邪魔されながら)眺めたら、足早に下山して層雲峡を後にした。そして旭川では醤油ラーメンを食らい、市の外れにある「陶芸の里」にも赴いて美しい陶器を鑑賞し、さらに寿司(奮発して上にぎり)食し、グルメ+αツアーを堪能した。そしてダブル台風一過の晴天に期待しながら、翌日に備えたのであった。

 行楽日和のはずが…

  そして翌日には悪夢のダブル台風が無事通り過ぎ、出発時には晴れ間も覗いていた。この日は休日ということもあって、朝早くにもかかわらず、今日の目的地・旭岳温泉行のバスは混雑していたが、バスが発車するとますます天気も良くなり、絶好の行楽日和になるものと期待された。

  ところが、1時間半ほどかけて旭岳温泉に到着すると、濃い霧が辺りに立ちこめており、長袖でも肌寒く感じられるほどであった。 これでは紅葉観光などしようもないので、とりあえず宿泊先の大雪山白樺荘(ユースホステル)に立ち寄り、荷物を置き、洗濯をしたりして時を待った。

  すると、昼過ぎになって急に快晴になったので、私は喜び勇んで出発した。だが昼ともなると観光客が多く、1本待ちでようやくロープウェイに乗ることができた。このロープウェイは、老朽化のため1998年10月11日で営業を休止し、2000年7月に建て替えられる代物である。そのため横風に弱く、時に不安定な動きをするのだが、眼下に広がる黄葉を見ながら、無事終点の姿見駅に着くことができた。

  そして、ここはすぐさま早歩きで姿見の池に向かい、同乗の観光客を引き離すことに成功。一般の半分程の時間で姿見の池に到着したが、さすがにエメラルドグリーンの色をした池と旭岳のツーショットは美しい。しばし景色を堪能したら、今度は引き返して夫婦沼を拝見。こちらも池に旭岳が映ったりしていて綺麗だ。 この辺りはもうほとんど紅葉が終わっていたので、その点は残念であったが、天気が良く、展望も最高だったので、気分は良かった。

Sugatami Pond
姿見の池

Mt Asahi
夫婦沼と旭岳

 圧巻の大展望と湖沼群

  さて、ここからは普通、大雪山最高峰・旭岳の山頂を目指すか、あるいはそのまま下に降りて帰ってしまうのが一般的である。 しかし、私はパンフレットで見た沼の平湿原の紅葉に魅せられたので、時間の許す限りその場所を目指して、愛山渓温泉方面に向かうことにした。ただ、宿主の話では、昼過ぎに出るのでは無理だろうと言われていたので、かなり早足で進んでいった。

  道としては比較的平坦で歩きやすい道であったが、途中からぬかるみがひどくなり、道が沢のようになっているところもあって、苦戦を強いられる。しかも、どういうわけか水の調達を怠っていたので、暑さとハイペースでしんどくもなったが、何とか途中の沢水を飲んで急場をしのいだ(ただし後から聞いた話では、この辺りの水は狐の菌があったりして、下手をすると死んでしまうので飲んではいけないらしい…)。

Water road
「道が沢」状態

  こうして観光コースから外れたため、ほとんど人と会うこともなく、悪路の中ひたすら歩きつづけて、 ようやく目的の沼の平湿原が見える地点にたどり着いた。ここは当麻乗越というらしいが、ものすごい大パノラマが広がっている。あいにく紅葉は終わっていたものの、東の旭岳から西側にかけて雲海が広がり、しかも眼下には、沼の平湿原をはじめ、大小様々の沼が点在していて美しい。私はなぜかこの大自然を独り占めしているような錯覚に襲われ、思わず手を広げて風を感じてみたりした。

Grand view of Numanodaira
当麻乗越から沼の平湿原の展望

View of Fall color
旭岳ロープウェイより

  しかし、時間の余裕があるわけではないので、10分ほど佇んだら引き返し、悪路の復讐に立ち向かった。が、もはやそんなものは恐るるに足らない。あの大展望を見た後では、多少靴が汚れようと、もうへっちゃらだ。

  途中、愛山渓温泉に向かう人とすれ違った時に展望の素晴らしさを伝えたりしながら歩いていき、ハイペースのまま元の地に帰還した。すると時間が若干あまったので、旭岳が逆さに映っていた夫婦沼を再度鑑賞したりして、ロープウェイに乗って帰途についた。

  ところで、ロープウェイの架け替えに伴い、途中にある天女の湯は入れなくなってしまうらしいので、是非なくなる前に入りたいと考えていた。ところが、この「最期の秘湯」最寄りの天女ヶ原駅では、休日のためか、あるいは工事中のためか、途中下車が許されない…これではどうすることもできず、入湯は断念せざるを得なかった。

  その後、やむなく眼下の黄葉を観ながら下山すると、上では見事に晴れていたのに、下では霧がかかり始めていたので、すぐに帰宿する。そして温泉露天風呂に入り、他の旅人と語らいながら疲れを癒したのであった(外が寒くて、すぐぬるくなってしまったが…)。

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