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旅行記:北海道一人旅

6.移動の便 (1997/7/15:曇後晴

 忘れもの

  この日は、2つ目の秘湖の近くにある然別湖まで移動する予定だったが、朝一のバスを逃すと昼までない(5時間待ち)ので、やむなく朝食を抜かして7時半のバスに乗ることにした。その直前まで同部屋だったバイク旅行中の人と話していたが、彼は今日糠平・然別湖を抜けて、富良野まで行くとのこと。バイクの機動力を羨ましく思いつつ、まずは昨日「忘れられた」阿寒湖に戻り、観光することとなった。

Lake Akan
阿寒湖

  阿寒湖では、バスの都合で1時間ほど空いていたので、とりあえず湖畔に出てみる。しかし湖周辺は観光ホテルや土産店が立ち並び、人の騒々しさもかなりのもので、いささか俗っぽい観光地と化していた。湖面を見ても、若干ゴミが浮いているなど、水質もあまり良くないようだ。唯一雄阿寒岳だけが綺麗に見えたが、天気も優れず、すっかり幻滅してしまった。

  しかし、まだ時間が余っていたので、気を取り直して阿寒湖畔ビジターセンター方面に向かい、そこから延びる自然探勝路を散策する。途中、湖岸近くには小さな泥火山・ボッケが見られ、また観光船などと違って人がおらず、静かに森の中を歩けるのは気持ち良かった。またセンター内にはマリモが展示されていたが、ソフトボール大の大きさに驚かされた(山中湖の小さいものしか見たことがなかったので)。

  阿寒湖からは、時間的には帯広方面に出た方が早いが、金銭的に余裕がなくなってきており、特に今回はJR線利用の場合新たにお金がかからないこと、また釧路湿原も一応見ておきたいとの考えから、遠回りではあるが、昨日来た道をいったん引き返し、釧路経由で移動することにした。

  予定では、バスで弟子屈摩周温泉まで行った後、列車が出るまで3時間近く時間が空いていたので、その間に銀行の口座からお金を引き出そうと考えていたが、いざバスに乗ると、そろそろ疲れもピークに達していたせいか、夢うつつのうちに弟子屈に到着した。慌てて下車すると、まずは近くにあった地図で金融機関を探したが、地元の信用金庫が1つあるだけだった。仕方なくそこに行こうとして財布を確認すると、なんと財布が見当たらないではないか!

  再度確かめても、やはり見つからない。なぜかと思ったが、とっさにバス停に戻ると、幸いにも先ほどのバスが時間調整で停まっていたので、事情を説明して席を探すと…財布が見つかった。不幸中の幸いとでも言うべきだろうが、この時すぐに気付かなかったら、と思うと今でもゾッとする。

  その後、例の信用金庫に出向き、キャッシュカードで現金を引き出せることを確認し、無事お金をゲットすることができた。 世の中便利になったものだと関心し、買い物&食事も済ませ、やがて近くの摩周駅より釧路行の快速列車(1両)に乗った。途中左右の窓より釧路湿原を眺め(速すぎてわかりにくかったが)、釧路からは特急で帯広方面に向かった。こうして、正味5日間滞在した道東に別れを告げたのであった。

 急遽糠平へ

  ところで、このまま然別湖へ向かうとなると、到着は夕方5時頃の予定であったが、然別湖畔には2軒のホテルがあるだけである(しかも高い!)。そのため、もし満員で泊まれなければ、野宿でもするより手がなかった(引き返す手段もないので)。しかし、昨日この件で冷や汗をかいていただけに、危険は未然に避けるのが得策だと思われた。

  そんなことを考えている時に、ふと思い出したのが、先のユースで一緒だった人のルートである。然別湖の北約25kmには糠平湖という湖があり、ここには8軒ほどの温泉宿があるのだ。このことは以前旅行情報誌を読んで知ってはいたが、この時までつい忘れていたのである。糠平湖なら帯広からバスも比較的多く出ているし、温泉宿も豊富なので、最悪の結末を迎える心配はまずなかった。結局、帯広到着まで躊躇したものの、決断して急遽糠平温泉を目指すことにしたのである。

  帯広では、道東での天気のぐずつきが嘘のように晴れ渡っていた。糠平温泉行バスの車中からは広大な十勝平野が見渡せ、所々で馬や牛を見ることもできる。しばらく北海道らしい風景を堪能していると、やがて山あいを走るようになり、大雪山国立公園の案内が見えるようになってまもなく、バスは本日の目的地にたどり着いた。

  そこでまずは宿探しに出たが、安めの所ということで、古くからある旅館・湯元館に泊まることとし、すぐ荷物を置いて周辺の散策に向かった。糠平湖は人造湖であるため、この時期水位が多少減っているのは残念だが、周囲に鬱蒼とした原始林が残っているので、天然の湖沼に見劣りしない美しい景観が広がっている。しばしその光景を眺めて宿に戻ると、いなきびご飯や鹿肉料理などが待っており、しかも露天風呂は独り占め状態で、気持ち良く床につくことができた。

Lake Nukabira
糠平湖

 ヒッチハイク挑戦!

  ところで、今回の旅は「日常からの脱出」ということで、普段実現できないような体験をすることも1つの目的であった。思い返せばクルージングしかり、ぬかるみトレッキングしかりなのだが、ここ糠平では熱気球体験搭乗ができるということなので、さっそく早起きして挑戦することにした。

  搭乗は朝6時からだったが、人がいなくなると止めてしまうと聞いたので、6時前に起床し、眠い目をこすりながら現場に向かう。すると幸運にも待っている人はほとんどいなかったので、すぐに乗ることができた。30m程度の高さでは、山があってそれほどのパノラマにはならないものの、不安定な乗り心地が何とも言えなかった。その後すぐ近くの「小鳥の村遊歩道」を巡り、朝食も済ませて、いよいよ然別湖へと向かうことになった。

  しかし、糠平湖から然別湖に向かう直通バスはない。たかだか25kmの道のりだが、公共交通機関を利用するとなると、帯広辺りまで迂回する必要があり、しかもバスの接続が悪いので、到着が夕方になってしまうのだ。かと言ってタクシーでは、かなりの大金をはたくことになる。そこで(某番組のようになってしまうが)仕方なくヒッチハイクを試みることとし、然別湖方面への分岐点まで歩いていった。

  最悪の場合最後まで歩こうなどと無謀な考えを抱きながら、観光バスが通過し、しばらく待っていると、一般乗用車が現われたので手を上げてみた。すると首尾良く止まり、快く乗せてくれたのであった。1台目で成功とは、非常に運が良い!

  この慈悲深い方は宇都宮から来ていた老夫婦だったが、昨年は道南、今年は道央を巡る旅行中で、この日は層雲峡から然別湖を通って富良野まで行くのだという。来年は道東を周る予定とのことだったので、私はお薦めとして知床・摩周湖・オンネトーを紹介しておいたが、そうこうするうちに細い道を抜けて、30分ほどで然別湖畔に到着したのであった。

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