昨日までの5日間で、当初考えていた目的地は訪ね終わり、内容的にも「お腹一杯」で大満足であった。それだけに、今日から始まる日程後半には、何らかの別の目的が必要であるように思われた。そこでいろいろと思いあぐねた結果、目をつけたのが「北海道三大秘湖」巡りであった。これはガイドブックを見ていて発見したのだが、こんな企画はツアーではまず不可能であろうし、内容的にも興味をそそられるものであったので、今後はそれを表看板として、6日目は屈斜路湖・摩周湖・阿寒湖と辿ることにする。
と言っても、上記の3湖が三大秘湖なのではない。三大秘湖とは、阿寒湖近くにあるオンネトー、然別湖付近にある東雲湖、そして支笏湖近辺にあるオコタンペ湖の3つを指すのである。誰が決めたかは定かでないが、ともかくまずオンネトーを目指し、そのついでに近くの著名な3湖も観光しておこうというわけである。
この日は9時頃宿を出たが、最初の目的地・屈斜路湖方面に向かうバスが出発するまで1時間あまり余裕があったので、まず目の前にあった川湯ビジターセンターを拝見し、摩周湖の眺望良好との情報等を入手。その後しばらく辺りを散策し、特産のアイスクリームも食べて、ようやく屈斜路湖に向かった。
乗車した阿寒バス「阿寒パノラマコース」(女満別~川湯~阿寒湖)は、主要観光スポットで休憩・観光できるようダイヤが組まれているので、効率的に周るには適している。到着した最初のポイント・砂湯では15分ほど時間があったので、砂浜に出てみることにした。
ここは文字通り砂を掘るとお湯が湧いてくる所で、屈斜路湖周辺で最も観光地らしい賑わいを見せている。さっそく私も試してみるが、確かに少し掘ると温泉が現われたし、地面も心無しか温かい。お湯は思いのほか熱く、触るのがやっとだ。風光明媚なのは良いが、賑わい過ぎているのが「玉に瑕」といったところか。

砂湯 (かなり熱い)
その後、バスは美幌方面に向かったが、湖を一望できる美幌峠まで足を延ばすとオンネトーにたどり着けなくなるので、途中の和琴半島で下車。ここでは阿寒湖行バスが来るまで1時間猶予があるので、とりあえず半島を一周する自然探勝路を巡ることにした。
少し歩くと露天風呂が見えてきたが、意外に熱く、中も汚く、外から丸見えなので、とても入れない…ガッカリしながらさらに進むと、一転して鬱蒼とした森の中に入った。小鳥のさえずりを聞きながら、所々にある解説板で植物や地形等を勉強していくが、木々から覗くコバルトブルーの湖面が美しい。
急坂を越え階段を下ると、噴気が立ちのぼるオヤコツ地獄が見えるが、ここの展望台からの眺めも絶景である。ここから南下すると途中公衆温泉があったが、熱くてとても入れなかったので、そのまま元のバス停に戻り、阿寒湖方面に引き返すことにした。

和琴半島からの眺め
砂湯では昼食の時間があったので、その際時刻表をチェックすると、摩周湖では第1展望台で時間が取られているものの、第3展望台は単に止まるだけとなっていた。神秘の湖として名高い摩周湖だけに、ぜひ第3展望台からも拝見しておきたい…そこで運転手に若干停車してもらえないかと頼んでみると、予定より早く着くこともあるのでと、快く応じてくれたのであった。
砂湯発後、硫黄山で20分観光し、いよいよ摩周湖を目指す。途中ジグザグの坂を登り、バス停にはほぼ定刻通りに到着したが、ここで「時間調整のため少々停車いたします」との親切な計らい! これには心の中で感謝し、形ばかりの許可を取って外に出た。
バスを下車し、目の前の柵を越えると、眼下には妖しいほど深い藍色をした摩周湖が広がっていた。第3展望台からはほぼ正面に摩周岳とカムイッシュ(小島)が見えるが、その美しさは何物にも変え難く、思わず魅了されてしまう。つられて出てきた何名かも驚嘆していたが、まもなく戻らざるを得なかったのは残念だ。

摩周湖 (第3展望台より)
こうして、やや遅れて第1展望台に到達した。こちらは摩周湖観光のメインのためか、ツアー客等でごった返していて、神秘の湖を堪能するにはあまりに不釣り合いであった。正直次から次へとやってくる人の波に閉口したが、それでもこの光景は素晴らしいの一言に尽きる。「霧の摩周湖」と言われ、初めてこの湖を見た時に晴れていたら、女性は結婚が遅れ、男性は出世が遅れるとの俗説もあるほどだが、今回この目でその美しさを堪能できたことは(たとえ出世できないとしても)非常に幸運であった。

摩周湖 (第1展望台より)

湯ノ滝
摩周湖を離れると、阿寒湖まではしばらく森の中を走ることになる。途中、双岳台から雄阿寒岳・雌阿寒岳を、双湖台よりペンケトー・パンケトーを車中から眺めながら進み、予定通り阿寒湖畔のバス停に到着。ここからは5分後に最終オンネトー行が出るため、本日の阿寒湖観光は諦め、本当の目的地であるオンネトーへと、貸切状態で向かった。
そして30分ほどでオンネトーに着いたが、まずはその先にある湯ノ滝を目指し、1.4kmほど歩く。ここは滝周辺で酸化マンガンが生成されているため全体が黒くなっているが、実際に行ってみると、露天風呂ともども大したことはなかった。
失意の中引き返してゆくと、やがて何とも不思議で美しい色をしたオンネトーが姿を現わした。オンネトーはアイヌ語で「老いた沼」という意味であるが、天候・気温・季節によって様々に色を変えることから「五色沼」とも呼ばれている。この色は展望台から見るとよりはっきりするが、エメラルドグリーンと水色が混じったようで、摩周湖とは違った意味で神秘的である。また、ここから眺める雌阿寒岳・阿寒富士もひときわ美しい。苦労して来た甲斐があったというものだ。
さて、この時間になるともうバスはないので、先ほど通過していた野中(雌阿寒)温泉まで数km歩かざるを得ない。既に夕方になっていたためか、途中で狐や鹿と「にらみ合う」場面もあったが、何とか温泉宿に漂着。3軒ある宿のうち、最初訪ねた2軒が既に満員であったため一瞬冷や汗をかいたが、何とかもう1軒のユースホステルに泊まることができて一安心であった(ただし相部屋)。

オンネトー

上から見たオンネトー

オンネトーと雌阿寒岳・阿寒富士