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連隊館震災ボランティア第 II 部 ボランティアを体験して
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震災ボランティア:第 II 部 ボランティアを体験して

自然に活動すること

T.M.(2/19~2/25)

 実は、私は「ボランティア」という言葉を好まなかった。使いたくなかった。それは、この言葉がしばしば非常に横柄な意味を無意識のうちに発するからだ。例えば、私はボランティアです、とか、私はボランティアをしています、という表現は(たとえ本人には何の悪意はないにしても)他者に対して自己の志の高さを自慢しようという意味を含みやすい。そして、私がこれまで「ボランティア」に対して思い描いていたのは、こうした厚かましく横柄なイメージであった。ボランティアを行なうことで、他者からの尊敬を受けたり自己のアイデンティティを確立しようとした瞬間に、そもそも「自発的に行動する、あるいはその人」といった本来の意味から遠ざかってしまう。この微妙な境界が一体どこにあるのかが分からない以上、私には使えない言葉であった。

 去年の暮れに、調布市のある団体に参加して、自閉症の子供たちと遊ぶという経験を数回した。そして、そこで不思議な体験をした。私が自閉症の子供の「相手をしてあげている」ような行動をする間、彼らは決して私を受け入れてくれなかったのである。彼らは敏感に私の態度に気付いていたのかもしれない。彼らのために‥‥などと考えれば考えるほど逆効果であった。彼らと打ち解けるようになったのは、彼らに私が腹を立ててからのことであった。これをどう理解していいのか、私にはよくわからなかった。

 神戸は私には無関係の土地だが、地震が起こるといわゆる「ボランティア」と呼ばれる活動をしようと思った。なぜそうしようと思ったのかは良く分からない。何らかの理屈をつけることもできるが、それによって何かを言い落としてしまうような気がする。もはや理由などどうでもよい、と思った。ただ「ボランティア」に胡散臭さを感じていた私は、出発する前に、私の神戸での数日間は、誰かのための奉仕活動ではなく自分のための利己的な活動でなければならない、と考えていた。自分の活動を誰かに評価してもらおうなどと考えないこと、と自分に言い聞かせることにした。神戸に入って自分のいつものペースで考え、そして行動することにした。粛々と、ただひたすら粛々と‥‥。

 だから、疲れた時は勝手にサボるし、酒を飲みたい時は飲む。おかしい時は笑えばいいし、眠い時は寝ればよい。実際に、私用で卒業旅行の準備のためT/Cを作りに大阪の銀行まで抜け出したし、奈良の実家に帰って親父と飲み過ぎて、次の日かなり遅れて出て来たこともある。ゴミのビラの原稿を書くのに、ただそれだけでは面白くないからと「ドラえもんコンテスト(略してドラコン)」なるイラスト・コンテストを内輪で楽しんだこともあった。「ボランティア」としては不謹慎なのかもしれない。あるいは、ある人に言わせると、私はひょっとしたら「ボランティア」ではなかったのかもしれない。実際、最初の2日程は全く役に立っていなかったし(あるいは2日どころではないかもしれない)、かえってリーダーをはじめとしてファミリー国立の方々には大変な迷惑をかけてしまったのかもしれない。本部との関係や被災者との関係において、あるいはそれ以外の人間関係においても、単に足を引っ張っただけかもしれない。その点に関しては言い逃れできない。この場を借りて謝りたい。

 再び、私は、なぜ私たち(少なくとも私)が「ボランティア」に参加したのか考えてみた。

 「あなたは何ですか」という問いに対する答えがぐらついているのではないか、と私は思う。これまでは「日本人です」とか「某会社の社員です」、あるいは「某家の某です」で済んでいたのが、それで済まなくなったのではないか。私自身に関して言うと、日本人でも、某大学の学生でも、(4月から働くことになる)某銀行の行員でも、某家族の次男でもあるが、それらから脱した自分自身でありたい、という気持ちが自然に湧いてくる。国家とか社会とか家などから離れて、自然に活動する自然な自分自身になりたいのである。そして、そうした活動を行なっている間、何となく自分自身の中にエネルギーが湧いていて、自分の中の不安は解消されている。そう、私はこのために参加したのだ、と今では思っている。だから、理由付けはどうでもいいし、活動は自分自身のためで良い。「ボランティア」とは「自然に活動すること」なのだと思う。

 ようやくこの言葉が使えるようになったので、ある友人と会話している時に使ってみた。

「俺、神戸にボランティアしに行ってきてん。」

 友人の答えはこうであった。「おまえがボランティアをするのは勝手だが、それを人に強要するのは間違っている。」

 以前の自分を見ているようであった。

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